学生の皆さんが待ちに待った夏休みも、気が付けば残り僅か。

部活に恋に充実した夏を送っている人、今の今までサボっていたツケで宿題に追われている人、新学期の迫り来る足音に早くも憂鬱になっている人、そもそも長い休暇のある学生さんとは違い、毎日仕事で大変な社会人の皆さん……。それぞれの夏があるかと思います。

そんな皆さんにお届けしたい、夏休みにピッタリのアニメ作品を独断と偏見でピックアップしました。

海、山、プール、西瓜にかき氷。そんな夏の定番に、これらの作品を加えていただき、残りの夏休みを楽しんでいただければ幸いです!

夏に観るべきアニメ映画の新たな定番!?
『サマーウォーズ』

先ず、ご紹介したいのが、細田守監督によるアニメ映画『サマーウォーズ』。2009年の夏に劇場公開され、大ヒットを記録した作品です。

細田監督は、2006年に『時をかける少女』、2009年に『サマーウォーズ』、2012年に『おおかみこどもの雨と雪』と、三年周期で新作のアニメ映画を発表していますが、その公開時期は、いずれも夏。今年の夏には、最新作となる『バケモノの子』が公開されました。

劇場公開のタイミングも手伝って、いずれも夏の映画という印象が強い細田守監督のフィルモグラフィー。『時をかける少女』と迷ったのですが、"夏に観たいアニメ作品"ということで、タイトルもジャストな『サマーウォーズ』を本稿では推させていただきます!

『サマーウォーズ』の舞台となるのは、世界規模のネットワークを誇る電脳世界OZ(オズ)。そんなOZにハッキングし、社会に大混乱を引き起こす謎のAI、ラブマシーンに数学の才を持つ主人公、そして、ヒロインの親戚一同が戦いを挑む……というのが、本作のストーリーラインです。

この映画で何よりも観ていただきたいポイントが田舎の夏景色を描いた美術です。サイバーなストーリーとは正反対に、大家族が集まった如何にも日本的な夏の風景がこの作品に独自の味を与えています。

冷房がない代わりに縁側がある日本家屋の住居、夜寝る時には蚊帳を使い、皆で集まって夏の高校野球を観戦。当然、家の外には真っ青な空が広がり、入道雲が描かれています。

日本人的な情緒に溢れた理想的な……まるで夢のような夏景色が美しい美術と贅沢に動くアニメーションによって画面に広がる様は、非常に見応えがあります。是非とも、今の季節とシンクロさせながら観ていただきたい作品です。

ちなみに、本作のSF的なプロットは、細田監督の過去作である『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』との共通点が数多く見られます。尺としては『サマーウォーズ』よりも短めではありますが、こちらも良作ですよ。