■そもそも合うのか?
焼き鳥好きですか? あまり嫌いな人はいないですよね。では最近、ワインと焼き鳥を楽しむことが人気なのを知っていますか?
カウンタービストロなどの流行で、オヤジが気軽にワインをがぶ飲みするようになりました。となると当然、焼き鳥部門にもワインが進出するわけです。
そして実は、ワインと焼き鳥はむちゃくちゃ合うんです!
今日は、どうすればこの組み合わせを上手に楽しめるか、かの有名なワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」の講師であり、オールアバウトでも健筆をふるう橋本伸彦さんからレクチャーしてもらうことにします。
お店は乃木坂で知る人ぞ知る「鳥幸」さん。なんとこちらはソムリエまでいて、ワインが驚くほど充実しているんです。レクチャーを受けるにはうってつけの店ですね。
で、橋本さん。いきなり本題ですが、そもそも焼き鳥とワインって合うんですか?
「ふふふ。合うどころか、鳥が一番ワインと相性がいいのですよ」
おお! そこまで言いますか。
「白身の肉だけれど旨味がある。焼き鳥なら調理法も焼くだけで、タレも塩もあるから、ストライクゾーンが広いんです」
でも焼き鳥はジャパンオリジナルでしょ。
「いやいや、フランスもロティスリーで鳥をぐるぐる回してワインと食べるでしょ。フランス人は焼き鳥大好きですよ。連れて行くと一番喜ばれますから。焼き鳥はヨーロッパ的な食べ物と言っても過言ではありません!」
■基本だけど必殺のテクニック
なんだか誇らしくなってきました。さっそく食べたいのですが、ものすごく基本だけ先に教えてください。
「ふむ。では教えましょう。焼き鳥の肉の色、調味料の色に合わせてワインを選ぶのです!」
ああ、つまりササミなら白、レバーなら赤とか?
「そう、これは味が混ざることによって、より美味しくなるということ。いわゆる似た者同士をくっつけるわけです」
それはわかりやすい! ではさっそく「さび焼き」から。こちらの肉は珍しい甲州地鶏ですね。
「オーストリアの白『グロッサー・サッツ2010』を合わせてもらいました。白コショウのようなぴりっとした香りとワサビの香りをなぞらえた似た者同士の組み合わせです」
本当だ。やや淡白なササミの肉質とフルーティーで爽やかなワインの風味が調和しますね。次は「せせり」。首の肉です。
「これは2010年の『ルバイヤート』です。山梨にある丸藤葡萄酒工業のワインですね。日本を代表するワイン用ブドウ品種、甲州と甲州地鶏を合わせるわけです。地のもの同士というのは不思議に同系統の味わいになるんですよ」