■なんと「タレ」ではなく「しょう油」登場
いわゆるテロワールというものですね。確かに味がのってくる感じがします。
幸せだなあ。次は王道のかしわ! なんともいい香りがしますが、これは生しょう油ですね。珍しい。しょう油は焦げやすいので、よほど腕に自信が無いとできないはず。この焼き手、相当の腕前ですよ。
「そうですね。タレ、塩に加えてしょう油まであると、より選択肢が広がりますね。次はシャルドネの白。『ブルゴーニュ グラン・エルヴァージュ2009』です。白い果実や花、トーストのような樽香があり複雑な香りがします」
ソムリエ河野さん「生醤油には小麦を焦がした香りが入っているので、樽の香ばしさと通じるんです。王道の部位に王道のブルゴーニュです」
夢のようです。次は「ハツ」ですが、あれ、開いてないですね。丸のままです。
焼主・井上さん「丸ハツといいます。このほうが食感がいいんですよ。冷やして掃除して焼くんです」
やはりすご腕…。焼き台が高く、全体から見えるようになっているのは、これだけのテクニックがあるからですね。レストランは舞台である、を体現している感じがします。
「今度は同じく丸藤の『ルバイヤート ルージュ樽貯蔵2006』、赤ですね。このハツは血合いの生臭みがなく、赤身肉や内蔵的な香りがミックスされています。メルロはなめらかな果実味と少々の土っぽさがあるので、そうした部分が共鳴するんですね」
うーん。素晴らしい食感です。ワインのスモーキーな感じとも合いますね。そしておなじみ「つくね」。
「伝統的で柔らかくたっぷりしたスタイルの『ブルゴーニュ ピノ・ノワール2009』を。ブルゴーニュの赤というとやたらと高級なものを合わせたくなるんですよ。でもそれでは焼き鳥とバランスが取れない。ですから手頃なワインでもこの生産者のように、チャーミングでつくねの甘辛さを引き立ててくれるようなチョイスがいいんです」
たまりませんね!