最初は“ハロプロ歌唱”に慣れない時期もあった

――ステージに憧れていたご自身が、今ではステージから客席へ魅せる立場になったわけですが、過去の経験は今の自分に活かされていますか?

田村:活かされていると思います。小学2年生までは地元のミュージカル・スクールにも通っていて、3年生からは子役として自分自身も舞台へ立たせてもらうようになりました。じつは、その経験がグループ加入のきっかけでもあったんですよ。

2009年にミュージカル『しゅごキャラ!』(現メンバーの和田彩花、福田花音、旧メンバーの前田憂佳も出演)へ出演させて頂き、メンバーの3人に出会ったことがスマイレージのオーディションへ参加する動機にもなりました。また、子役時代の経験があったからこそ、身に付いた表現力もあるのかなと実感しています。

――舞台や演劇への憧れが、現在の活動へ挑むきっかけにも繋がっていたんですね。ただ、ステージへ立つという共通点がありながら、ミュージカルとアイドルというのは求められるものもそれぞれ異なる印象もありますが、苦労された部分はありますか?

田村:発声の違いにまず戸惑いました。ミュージカルでは舞台上で遠くまで響かせるように、頭のてっぺんから声を出すイメージなんですよ。今は顔の手前に向けて出すのが基本で、加入してすぐはボイストレーニングの先生に指摘されたこともありました。

つんく♂さんにも「ミュージカル畑にいたことを忘れなさい」と言われたり、4拍子や16拍子でビートを刻む“ハロプロ歌唱”に慣れず「リズム感が悪い」と怒られたり、歌うという部分では一緒でも、細かな部分で違うというのを感じましたね。

――やはり試行錯誤された部分もあったんですね。発声のお話が出ましたが、田村さんといえば場面により異なる「七色の声」に惹き付けられるイメージもあるんですが、苦労とは反対に、活かされた部分はありますか?

田村:たしかに苦労した部分でもありますけど、今では、自分自身の“武器”のひとつにもなっていると思います。ミュージカル・スクールの先生から「7つの声を出しなさい」と言われていたんですよ。頭のてっぺんやおでこ、鼻、のどなどの様々な場所から声が伝わるようにと、小さな子にも分かりやすく教えてくれたんですね。

今は、鼻とおでこの間から抜けるようなイメージを基本にしていますが、カッコイイ曲ならば胸の辺りから伝わるようにしたり、曲によって使い分けています。自然と切り替えられるようになったのは、幼い頃の経験がもっとも活かされている気もします。