27個 ―― 猫の耳を構成する筋肉の数
猫を飼っている人は、その器用な耳の動きに興味をひかれたことがないだろうか? 遠くで音がすれば耳をピンと立て、知らない人間を威嚇するときは後ろに折りたたまれ、目を閉じている休息中でさえレーダーのようにぴくぴく動かしている。
あの複雑な動きを可能にする猫の耳は、なんと27個もの筋肉から構成されているという。可聴域も圧倒的で、犬の約2倍、人間の約5倍。小さな音でも人間の8倍ほど鋭く反応でき、音がする位置(角度)を聞き分ける誤差は人間のわずか1/9。すぐれた嗅覚で知られる犬と対照的に、猫が聴覚の動物と言われるゆえんだろう。
さらに、バランスを司る三半規管も耳の奥にあり、これまた猫は超高性能だ。一般には「60センチの高さがあれば背中から落とされても足で着地できる」とされる。こうしたバランス感覚と柔軟な筋肉・関節構造のおかげで、高い建物から落ちても無事だった例は少なくない。
猫の耳は単なる“萌えアイテム”ではなく、感情表現から狩りのサポートまで、きわめて実用性が高い万能部位なのだ。
約13万年前 ―― イエネコの祖先が誕生した時期
人に馴れ、人と同じ生活圏で暮らすイエネコの祖先は、研究によれば「リビアヤマネコ」。砂漠地帯に溶け込めるようにするためか、体色はいわゆるキジトラの猫に近いものが多い。このリビアヤマネコが発生(分化)したのが約13万1000年前で、北アフリカ・中東から世界中へ広まっていったとされる。
初めて猫が家畜化された証拠の見つかっている古代エジプトでは、猫が“神の使い”として神格化されていた時代もあった。反対に西洋では猫、とりわけ黒猫が“魔女の使い”として迫害された歴史もある。
日本の猫は飛鳥時代から奈良時代にかけて入ってきたとの説が有力(弥生以前にいたという説もある)。平安以降はさまざまな文献に猫が登場し、たとえば清少納言の随筆『枕草子』にも猫に関する記述がある。ここに出てくる一条天皇の愛猫「命婦のおとど」が、記録に残っている中で“日本で最初に名づけられた猫”だという。