バンドキャリアは長いながら、究極の独自センスを貫くへんてこバンド。とってもカッコいいけれど、どこがカッコいいかは言語化するのが難しい……それが筆者がえんそくというバンドに抱く印象である。
ウレぴあ総研にも何度か登場しているのでご存じの方も多いと思うが、えんそくは2007年から活動している中堅バンドである。そのキャリアの中で、今回の会場であるTSUTAYA O-WESTでのワンマンライブを行った経験も何度かある。しかし、そのときの結果はいずれも満員とは言いがたい客入りであった。
だからこそ、今回のO-WESTワンマン「サヨナラ旧人類~やっぱり僕らは青かった~」で、ほぼ満員の客席を見られたことは、きっとメンバーにとってもとても大きな意味があっただろうと筆者は思う。今、えんそくは大きな流れをつかんでいるように見える。
今回のレポートでは、筆舌に尽くしがたいえんそくというバンドのカッコよさをできる限り言語化する努力をしてみようと思う。
当日のO-WESTは、詰めかけたファンたちで後ろまでいっぱいだった。ライブ開始前、「やぁ! えんそくちゃんだよ!」から始まるおなじみの告知画面が流れ始める。年明けの無料ワンマンなどの告知でファンを大いに沸かせたあと、おもむろに今回のライブ用写真の撮影メイキング映像が流れる。
黒い衣装を着たメンバーが徐々にスペ―シーなペインティングを施されていくのを、じっと見つめる園児たち(園児=えんそくのファンの総称)。そしてえんそくと交流のあるJin-Machineやマイナス人生オーケストラなど、複数バンドが今回のアルバムタイトルでもある『新世界』の名前をコールする動画が連続する。
まばゆいライトがつくと、その逆光の中に背中を向けてたたずむメンバーが現れ、客席からは大歓声が起こった。
1曲目は『ブルーハーツ』。青春のもどかしくも輝かしい日々を描いたこの曲は、筆者も大好きな1曲である。園児たちの心をわしづかみにして、ぶう(Vo)も客席を煽りまくる。
ほかのメンバーもかなりハイテンションで、ミド(Ba)に至っては1曲目だというのにステージと客席の間に落ちるというハプニングを起こしていた(笑)。そんなハプニングも笑いに、そして楽しさに変えてしまうのが、えんそくの魅力でもある。