おいしいものはたくさんあるし、お酒もすすむ。まるまると肥えてゆく季節でありますが、身だけでなく心も豊かにしたいものです。
というわけで、芸術の秋です。情報誌『ぴあ中部版』アート担当出身のライターが、この秋、気になる中部エリアの展覧会をセレクトしました。
存在そのものがアートな美術館。1年の休館を経て、リニューアルオープン
©Sophie Calle/ADAGP,Paris,2015
豊田市美術館 10月10日(土)リニューアルオープン
「ソフィ・カル展」10月10日(土)~12月6日(日)
豊田と言えばクルマ、だけではありません。
建物、作品、空間すべてがすばらしいと、各地からファンが集まる美術館があるのです。
1995年に開館した豊田市美術館です。
市街を一望できる高台に建ち、日常とはかけ離れた異空間が広がります。垂直線と水平線とで構成されたシャープな空間、乳白色のガラスや大理石といった素材の美しさ、やわらかい印象を添える木々や池。どこを切り取っても絵になります。
建築家、谷口吉生の代表作としても知られています。
バリアフリー化を中心とした改修工事のため休館中でしたが、10月10日、晴れてリニューアルオープン! 再び、あの空間に身を置けることが楽しみです。
こちらの美術館は、所蔵作品と企画展のクオリティが高いということでも有名。
リニューアル後、第一弾となる展覧会に選ばれたのは、フランスの現代美術家、ソフィ・カル。目の見えない人に“美のイメージ”を問いかける作品などが紹介され、あらためて「見る」ということを考えるきっかけとなりそうです。
世界で唯一、米ボストン美術館の姉妹美術館。ヴェネツィア・アートで優雅な空間に
名古屋ボストン美術館
「ボストン美術館 ヴェネツィア展」 2016年2月21日(日)まで開催中
アメリカ建国100周年を記念して開館したボストン美術館。
その唯一の姉妹館として作られたのが、名古屋ボストン美術館です。
ということは、アメリカまで行かずとも、ボストン美術館のコレクションをいつでも鑑賞できるのは、世界中で名古屋だけ!
この秋は、ヴェネツィアンカラーに染まる展覧会を開催中。
第一の見どころは、世界的に超有名なヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たちの作品が一度に見られるという点。ミケランジェロも一目置いたというティツィアーノをはじめ、ティントレット、ヴェロネーゼと、盛期ルネサンス好きにはたまらない面々の作品が並んでいます。
そして、第二の見どころは、放浪画家ロットの幻の名作。
修復を経て、ベストコンディションで初公開! ほか、モネが描いた水の都など印象派の作品、さらにはヴェネツィア・レースや 16世紀頃のおしゃれミュールなど、ボストン美術館所蔵の130点で構成。