今回のイベントの発起人であるミヤ(Gt) 撮影:榊原優介

『ENDER ENDER』では「何しに来たんだ? 騒ぎに来たんだろうが!!!!」とシャウトする逹瑯(Vo)に、フロア全体が大きなひとつの生き物のようになって踊り狂う。続く『塗り潰すなら臙脂』でもミヤ(Gt)のギターソロが炸裂。それに応えるようにフロアもヘドバンで地獄のような光景を創り出した。

『遺書』ではNOCTUENAL BLOODLUSTのCazquiがギターを持って乱入し、ミヤとツインギターをキメる。逹瑯も狂い転げるようなパフォーマンスを披露して、会場をさらに熱狂させた。ウッドベースが響く『25時の憂鬱』では、MUCCらしい不穏な空気感を演出して会場の雰囲気をガラっと変えていった。

MCでは逹瑯が出演各バンドに感謝を述べつつ、「アンドYOU!」と観客にも感謝を伝え、「すげぇ良いイベントになったと思う!」とイベントへの手応えを語った。そして発起人であるミヤのMCへと流れ、ミヤも「こっからじゃね!? COMMUNE!!」とこのイベントの展望を語ってみせた。

客席からの熱いレスポンスを見ていても、ヴィジュアル系に、ロックシーンに、誇りを持っているMUCCというバンドだからこそ、客席も信頼を寄せてイベントを楽しめるのだと思う。

続く『蘭鋳』にはDEZERTの千秋がギターを持って参加。逹瑯もウォーターバズーカを持ち出してきて、会場中を水攻めに(笑)! 千秋、ミヤ、YUKKEが並んでバチバチと楽器を弾く姿は、“イベント”というものの楽しさを凝縮したような、胸が熱くなる光景だった。

MUCCのステージ中、後方に大きなモッシュピットが出来上がった 撮影:榊原優介

ラストは『MAD YACK』『TONIGHT』とたたみかけて、客席もステージ上もグチャグチャになりながら、COMMUNEの全行程は終了した。最後に逹瑯が「今日俺は再確認したよ。ヴィジュアル系はまだまだカッコいいよ!!」と叫んだ言葉が、胸に残った。

最後までアンコールを叫び続けた客席も、場内のイベント終了アナウンスにパラパラと帰り支度を始める。そんな中でステージ幕に映し出された「SEE YOU 2016」の文字に気づいた客席から、とたんに大きな歓声が上がる。

今回の東京、大阪公演が見られなかった人も、2016年に再び“COMMUNE”というイベントを見られる機会があると言うことだ。ぜひ、今後もこの熱いイベントの動向をチェックしていきたいところである。

 フリーランスエディター・ライター。原宿系ファッション誌の編集者などを経て、2014年独立。ファッション、アニメ、マンガ、ヴィジュアル系、腐女子などのカルチャー分野について執筆。