さて喫煙+フェスと言っても具体的にどんなものかというと、例えばメインの「STAR STAGE」前にやぐら的な高台がふたつ設置されているのだが、実はそこが喫煙スペースになっていて、要はたばこを吸いながらVIP席並の見晴らしでライブを楽しめるようになっている。もはや喫煙スペースの域を超えた他ではありえない演出だ。
STAR STAGEの客席部分。写真後方に見える高台が喫煙スペースです。
それ以外にも会場には、来場者が自由に書き込めるメッセージボードがあったり(自分もちゃっかり書きました)、場内を巡回するカメラスタッフにスナップを撮ってもらうと「SUN STAGE」に設置された巨大スクリーンにスナップ写真が映し出されたりと(自分もちゃっかり写りました)、フェスならではの特別感を演出するアクティビティが用意されていた。自分が見た限りでは、そういう遊びにも積極的に参加する人が多い印象だった。ノリのいいお客さんが多かったのだろう。
メッセージボードは裏までびっしり。
というのも『StarFes.』の目玉は、UNKLE Sounds、電気グルーヴ、SYSTEM 7、AGORIA、Anthony Collinsなどのダンス~テクノ勢をメインとして、そこにLITTLE TEMPO、SLY MONGOOSE、SOIL&”PIMP”SESSIONS、Dachamboといったジャム系アーティストを加えた錚々たるメンツ(詳しいメンツはこちら)。雑にまとめると、とにかく踊れるノリのいい人たちばかりが集結したわけで、お客さんのノリがいいのも当然っちゃ当然なのである。自分はこの日、DAMAGEをちょっと→DEXPISTOLS(ROC TRAX) をちょっと→LITTLE TEMPO→SLY MONGOOSE→途中からSOIL&”PIMP”SESSIONS→GILDAS(Kitsune)→電気グルーヴ→UNKLE Sounds途中まで→SYSTEM 7を途中から、という感じで回ったが、いやー踊った踊った! タイムテーブルと見比べればわかることなので白状しますが、これでも実は合間にけっこう休憩を挟みつつの行程にもかかわらず、これだけ見られる盛りだくさん具合。しかも早割チケットなら3000円(当日券でも4500円!)という破格の価格設定も庶民には嬉しい限りだった。
個人的なこの日のハイライトは、どこまでも開放的で楽園的な世界観をこれでもかと畳み掛ける姿勢が激ハッピーなのに激ハードコアだったLITTLE TEMPOと、見た目はおとなしく愛らしい感じのご夫婦なのに絶頂時の快感がずーっと最後まで続くイキッぱなし感じの音を浴びせ続け、ラスト30分しか見られなかったけど文字通り昇天してしまったSYSTEM 7。どちらも初見だったが、とにかく踊れて最高だった! どのステージも出音がよかったのも特筆すべき点。出演アーティストの傾向もあってか、バンド系に比べてクラブ~テクノ周りのステージの方が、より細やかなサウンドになっていた気がした。他のアクトもどれもすばらしくて大満足だったのだが、あえて言うなら「SUN STAGE」と「FOREST STAGE」は入場規制になることが多くて、「SUN STAGE」に全然足を運べなかったのが心残りかも。夕方ころパラッと雨が降ったものの、基本的には天候にも恵まれ、記念すべき最初の『StarFes.』は大盛況のうちに幕を閉じたのだった。
夜のSTAR STAGE全景。
さて、気になっていた「日本一早い夏フェス」との謳い文句やいかに、という疑問だが、要するに単純に季節的な意味で「夏フェス」という言葉を冠したのではなく、開放感やピースで自由な雰囲気、野外で音楽を存分に楽しむ幸せ、そんな「夏フェス感」を日本一早く生み出してしまおうというのが、『StarFes.』の目指す地点だったのだと思う。このある意味強引なコンセプトがなかったらここまで面白く挑戦的なフェスにはならなかっただろうし、そんな強引さも含めて『StarFes.』ならではの魅力がしっかり提示されていたと思う。試行錯誤が必要な部分もいくつか感じられたが、そこはこれから『StarFes.』が成長していく上での、言わば通過儀礼的なもの。きっとこれから回を重ねていくごとによりよいフェスになっていくと思う。開催時期/メンツ/チケットの価格/コンセプトと、どの面にも飽和したフェスシーンに打って出る新たなチャレンジを感じることができたし、だからこそこのチャレンジを次に繋げてほしいと思った。
……なんて偉そうなこと言いながら、実際は食って飲んで踊りまくっていただけですが。電気グルーヴのライブ中『Flashback Disco』で飛び跳ねすぎて足をつりそうになったのも今ではいい思い出。来年も期待してます『StarFes.』!