狂言とオペラ、日本とヨーロッパの伝統的な芸能を結びつけ、高い芸術性と無類の面白さで好評を博している狂言風オペラ。その最新作『狂言風オペラ モーツァルト“コジ・ファン・トゥッテ ”』が来年2月上演される。
狂言風オペラシリーズは、京都の大蔵流狂言師、茂山千之丞らを中心に2002年にスタート。モーツァルトのオペラを換骨奪胎し、クラシックの名門、ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン管楽ゾリステンの演奏に乗せて、狂言師たちが物語を演じるというユニークなスタイルが話題を呼び、『ドン・ジョヴァンニ』(02年)、『フィガロの結婚』(06年)、『魔笛』(09年)と順調に回を重ねて来た。11年には『魔笛』を携えてドイツ公演も行い、7ヵ所のステージを成功させるなど高い評価を得ている。
『コジ・ファン・トゥッテ』の製作に際しては、ウィーン在住の気鋭の演出家、伊香修吾が新たに参加。京の都を舞台にオペラの主人公フェランドとグリエルモを太郎冠者、次郎冠者に置き換えた脚本も書き下ろす。また茂山一門に加え、今回、特別出演として名を連ねるのが落語家、桂米團治。オリジナルにはない、語り手という意表を突いたポジションから物語に絡んでゆく。
9月に行われた記者会見には出演の茂山正邦、茂山茂、茂山童司、網谷正美、桂米團治ほか、伊香修吾らが出席。席上、米團治は「年来のモーツァルトファンですが、オペラの語り手というのは初めて。伊香さんのアイデアで、僕らは自分たちが思っていたところとはどんどん別のところに連れて行かれる」と面白さを語った。また出演のほか、監修も行う茂山童司は「『狂言風オペラ』は亡き祖父、千之丞が描いたイメージを引き継いで今まで続けて来たもの。この度、新しい演出、新しい出演者を迎えるのを機に、改めて緊張感を持って僕らの『狂言風オペラ』を作っていきたい」と語った。
公演は2016年2月20日(土)、愛知・豊田市コンサートホールを皮切りに、2月21日(日)、福岡・宗像ユリックスハーモニーホール、2月23日(火)、岡山・津山文化センター、2月24日(水)、大阪・NHK大阪ホール、2月25日(木)、東京・すみだトリフォニーホール、2月27日(土)、滋賀・ひこね市文化プラザグランドホールの6会場にて。チケットは宗像ユリックスハーモニーホールが11月14日(土)発売。その他は発売中。