平成版ガメラシリーズの魅力と特徴とは?
平成ガメラ三部作の最大の特徴は、キッズムービーのテイストが強かった昭和版のガメラシリーズに比べて、ぐっと大人びたハードな作風になっている点です。つまりは、大人も楽しめる怪獣映画になっているのです。
その為、作中ではショッキングなシーンも幾つか登場します。中でも、『大怪獣空中決戦』でギャオスが人間を捕食するシーンや、『レギオン襲来』での怪獣レギオンによる地下鉄襲撃シーンは、シリーズ屈指の衝撃度と恐怖感を誇るシークエンスとして、ファンの脳裏に強く記憶されています。
また、シリーズを通してのキーアイテムとなる勾玉の登場、人類を守る守護獣としてのガメラの描き方といった、昭和版からSF色を薄め、伝奇的な要素を増した点も平成ガメラ三部作における特徴の一つです。
更に、シリーズ最終作となった『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』では、人類を守るガメラの存在そのものにも疑問を投げかけ、その正義を問うという、これまた衝撃的かつ意欲的なシナリオが用いられています。
昭和のポップでキッチュなキッズムービー路線から一転、大人びてシリアスな作風へと変化した平成版ガメラ。
そうした作風を受けてか、次作となる『小さき勇者たち~ガメラ~』では、『大怪獣空中決戦』から『邪神<イリス>覚醒』までの三部作とは設定を一新し、主人公の少年とガメラの絆を描いたジュブナイル・ムービーへと路線を変更。監督には、東映の戦隊ヒーローや仮面ライダーシリーズで活躍する田﨑竜太氏を招き、明快なキッズムービー、ファミリームービーとして製作されました。
それまでのシリアス路線の平成版ガメラから昭和版ガメラへの回帰とも言える方向転換であり、新たなガメラ像を確立するかと思われましたが、残念ながら本作をもってガメラ映画は再び長い休眠期間に入ることになるのです。
新作ガメラを撮る石井克人監督に迫る
そんなガメラが遂に復活……! 『小さき勇者たち~ガメラ~』以降は、特撮怪獣映画が下火になり、新作が長らく途絶えていた一方で、海外からは日本の怪獣映画に影響を受けた『パシフィック・リム』が逆上陸しヒットを記録。
更には、ゴジラがハリウッドで再度リメイクされ、庵野秀明監督のもと、新作のゴジラがスタートと、長年の空白期間を経て、今再び怪獣映画の熱が高まりつつある昨今、まさに満を持してのガメラ復活となったわけです。
そんな"新ガメラ"ですが、現在、YouTubeで観ることができるトレイラーを手掛けているのが、石井克人監督。数多くのCMやアーティストのPVでディレクションを行ってきた映像作家であり、映画監督としても活躍をされているクリエイターです。
そんな石井監督の代表作といえば、やはり長編劇場映画監督デビュー作となった『鮫肌男と桃尻女』でしょう。
『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』の公開と同じく1999年に公開されたこの映画は、望月峯太郎さんの同名漫画を原作とした作品(ただし、大まかなストーリー、設定を用いているだけで、ほとんどオリジナル作品と言える内容です)。鮮烈な映像と個性的なキャスティングが観る者に強烈な印象を残すアクション映画です。
本作の魅力となっているスタイリッシュな映像とオフビートなコメディ感覚は石井監督の作風における大きな特徴の一つだと言えるでしょう。
また、様々なクリエイターが集結したオムニバス作品『Grasshoppa!』シリーズや、劇場映画第二作『PARTY7』のオープニング映像で観ることができるようにアニメーションへの注力も作品の個性となっており、2010年には長編アニメーション作品『REDLINE』を製作しています。