1位:『さようなら』(10月24日上映)
満足度:83(100点満点)
<項目別5段階評価平均点>
俳優:4.4
ストーリー:3.9
音楽:3.8
演出:4.2
日本からコンペに出品されている3作品の中でも最も若い30代半ばだが、すでに『歓待』、『ほとりの朔子』などで国際的な評価を得ている深田晃司監督の最新作。劇作家・平田オリザの戯曲を原作に、寿命を持って生きる人間と不死のアンドロイドの交流を通じて、生と死について深く問いかける。
感想では人間とアンドロイドが生きる社会、放射能に侵された近未来といった設定の深さに関するものが多く見られた。
「原発事故で日本人が難民になるという現代的な設定の中で、“孤独と死”に向き合う主人公に考えさせられた。人とアンドロイドという関係の新鮮さもあり、現代の日本にリンクした面白い設定だと思いました」(40代・男性)
「ジェミノイド(※モデルとなる人間と酷似したアンドロイド)が出るということで注目して見に来ましたが、面白い試み。人間とロボットという未来的なテーマも面白かったし、見終わって考えさせられる部分もあり素晴らしかった」(42歳・女性)
「思ったよりも人間とアンドロイドのやり取りが自然で、昔のロボット映画のようなギクシャクした感じがなかった」(49歳・男性)
死生観について深く考えさせられる映画だという声も多数寄せられた。
「人間の死をアンドロイドを通じて考えさせてくれたところがよかった」(64歳・男性)
「一度で理解しきれない不思議な感覚でした。感情や死についてのロボットと人間の感覚の違いなどについて感じました」(46歳・男性)
「人間の一生について考えました。しみじみとよかったです」(75歳・女性)
「人間とは? 生きる意味について考えさせられました」(60歳・女性)
深田監督の演出、その独特の世界観についても高い評価が!
「風景と主人公の気持ちの変化などがとてもよく表現されていました。最後の演出にはびっくりでした!」(66歳・女性)
「独特の間を持った作品で、次は何が起こるのだろう? と見入ってしまいました」(30歳・女性)
30代半ばの監督による、アンドロイドが登場する映画であるにもかかわらず、観客には50代、60代以上が多く見られたのも特徴的。その多くが「生と死、人生について考えさせられた」と語っており、まさに現代の日本社会を見つめ直す上でも重要な示唆を含んだ作品といえそう。久々の日本映画のグランプリ獲得なるかも注目だが、高評価での船出となったよう。
なお本作は10月27日にTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて、10月28日に新宿バルト9にて上映される。
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