違った表現方法でファン層を広げた作品

原作とは別の漫画家に描かせることで、また設定や作風、キャスティングを一新することで幅広いファン獲得を狙った作品もある。

『聖闘士星矢』→『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』『セインティア翔』など多数
『北斗の拳』→『DD北斗の拳』『北斗の拳 イチゴ味』
『おそ松くん』→『おそ松さん』
『釣りバカ日誌』→『釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~』
『サイボーグ009』『デビルマン』→『サイボーグ009VSデビルマン』

派生作品の数に驚かされるのは、聖闘士(セイント)たちの超人的バトルでブームを巻き起こした『聖闘士星矢』。昭和61年スタートの原作が約5年間の連載を終えてからも、いまだ数多くの続編・外伝が作られている。

原作者の車田正美氏がフルカラーで描く続編『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』、手代木史織氏による『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』、岡田芽武氏の『聖闘士星矢 EPISODE.G』、久織ちまき氏の『聖闘士星矢 セインティア翔』。さらにTVアニメ『聖闘士星矢Ω』、ウェブアニメ『聖闘士星矢 黄金魂 -soul of gold-』など覚えきれないほどだ。

『北斗の拳』は原作のシリアスムードから一転、現在はギャグ作品として『DD北斗の拳』『北斗の拳 イチゴ味』が漫画とアニメの両方で人気を博している。

『おそ松くん』は下ネタとパロディを詰め込んだアニメ作品『おそ松さん』として現代風に生まれ変わった。成長した六つ子が全員ニートという予想外の設定や、関係者からクレームが入りかねない露骨なパロディ描写が話題となっている。

『釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~』は本家『釣りバカ日誌』より前の出来事を描いたテレビドラマ。原作者自身による同タイトルの漫画がベースだが、ドラマ化にあたって舞台を昭和40年代から現代に変更している。かつてハマちゃんを演じていた西田敏行氏がドラマ版ではスーさん役になるという大胆なキャスティングもファンを驚かせた。

偉大な巨匠が生んだ“昭和の傑作”同士によるコラボアニメ『サイボーグ009VSデビルマン』も注目トピックだ。どこに接点があるのかと不思議になる両作だが、公式サイトのプロモーション動画を見れば、そんな気持ちも吹き飛ぶ。

原作者自身の手を離れた名作タイトルには、勝手な設定変更、クオリティの低下といった不安要素もあるが、新たなファン層へアピールするチャンスであるとも言えるだろう。