頑張れ働き女子! 心も身体もポカポカする栄養がたっぷり詰まった物語。

『ランチのアッコちゃん』&『3時のアッコちゃん』(柚木麻子/双葉社)

次にご紹介したいのは、今年テレビドラマ化もされた『ランチのアッコちゃん』。そしてその続編でもある『3時のアッコちゃん』(柚木麻子/双葉社)という小説です。

 表題作でもある「ランチのアッコちゃん」の主人公は、気弱な派遣社員の三智子。

恋人にフラれてズドーンと落ち込み、毎日作っていたお弁当も食欲もなく残そうとしていた所へ、バリバリ仕事ができる有能な上司・黒川敦子部長、通称“アッコ女史”から、「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」という提案が持ちかけられます。

気乗りしない三智子でしたが渋々引きうけ、一週間アッコ女史のためのお弁当を作る事に。その代わり三智子は、アッコ女史がルーティンで食べに行っているという、馴染みのお店に出向くことになります。

アッコ女史の指令の元、三智子は毎日様々な場所にランチを取りに行くのですね。ジョギングで移動販売車のお弁当を買いに行ったり、カレー屋さんに出向くとなぜか一日店長を任されたり……。

落ち込んでいた三智子でしたが、様々な職種の人と出会い、徐々に元気を取り戻していきます。
ついには屋上で社長とお寿司を食べて、企画を提出するまでになるのですから、すごいです!

また、続編である『三時のアッコちゃん』では、ブラック企業で働く女子、明海(あけみ)を主人公にした「メトロのアッコちゃん」という物語も描かれています。地下鉄で生きる意味を失い、この世の終わりのように沈んでいた時に、アッコさんに野菜たっぷりスムージーを強引に飲まされることで、元気を取り戻していく……というストーリーです。

このお話は、“仕事に取り組む姿勢”のヒントもたくさん描かれています。

「全ては自分の心の持ち方次第で、道はどんな方向にだって広がっていく」ことを、忘れたくないと思える、とても勇気付けられるお話です。

2冊とも、ほぼ一話完結型の短編が収録されており、働く女子たちのお悩みが、美味しい食事と、明るく大らかな人々との出会いによって、解決されていくお話が収録されています。明るく爽快な読み応えで、元気になれること間違いなしです!