セックスレスが原因と気づかない夫
この男性は、妻と距離ができてしまったのは「自分が二人目を断ったから」と思いこんでいました。
ですが、妻の言葉を聞けばわかるとおり、仮面夫婦となった本当の原因はそこではありません。
二人目を作る以前に、妻が抱いてほしいとお願いしたときにむげに断ったこと。
妻の心を傷つけるような言葉を吐いたこと。
それ以降自分から誘おうとしなかったこと。
そんな夫の態度がどれだけ妻を苦しめたか、この男性は考えることができません。
男性は、「セックスすること」と「二人目を作ること」を同じに思っていましたが、妻が求めていたのは「夫婦としてのスキンシップ」です。
ワンオペ育児でストレスが溜まる中、少しでも心が休まる時間がほしくて夫にお願いしたのに、それを受け入れてもらえなかったばかりか夫からは誘われることはなく、妻の孤独は深まる一方だったと想像できます。
それに気づかず、ただ自分の思い込みで「毎週決まった曜日にエッチをする」提案をした夫の姿は、妻にとってどれほどショックだったでしょうか。
男性は、妻とのセックスがまったくなくなっていることには気づいていましたが、特に問題があるとは思っていませんでした。
「子どもができたらどこもそんなもんじゃないの?
女っていうかもう母親だし、その気になれないし」
こんな言葉を簡単に口にできる男性に、妻の寂しさも自分の行動のまずさも、理解するのは難しいかもしれません。
男性の頭を占めるのは、「俺のせっかくの提案を断った妻」への怒りばかり。
妻のほうは、「私の気持ちをまったく理解してもらえていなかった惨めさ」。
こんなふたりが、今の仮面夫婦状態を脱するのは、まだまだ遠い先の話だと言わざるをえません。
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この男性は、妻と距離が開いてしまったことについて、しっかりと話し合う姿勢を持つべきでした。
妻の気持ちを勝手に決めつけ、「これでいいだろう」と的はずれな提案をしても、それがかえって妻を傷つけることになります。
セックスレスは、正常な夫婦の状態とは決していえません。
セックスがないこと以上に問題なのは、妻の寂しさを放置できる夫の気持ちです。
それに気づかない限り、ふたりの心がふたたび結びつく日は来ないのだと、この男性はもう一度考える必要があります。