日本の遺棄動物には「セカンドチャンス」があまりに少ない点を指摘した前回のコラム「日本の犬猫は本当に幸せか――海外と“ペット後進国”の大きな差」は大きな反響をいただきました。

海外のペット先進国ではシェルターが整備され、そこで数多くのペットを保護しています。また、購入者もペットショップではなく、こういったシェルターを訪れることが当たり前となっており、一度捨てられたペットたちには、セカンドチャンスがしっかり用意されているのです。

こういった環境に日本は追いつけていませんが、日本にもシェルターがないわけではありません。今回は、日本で猫に特化した保護活動を行っているシェルターについて紹介したいと思います。

その前に、日本における犬と猫のバランスについて、数字を見ていきましょう。

実際に飼われている犬の数は1035万匹で、猫は996万匹とほぼ同数(ペットフード協会・2014年 10月)。しかし、年次推計を見てみると、犬の国内の飼育数が過去3年間で13%減ったのに対し、猫は3.7%増加しています。一世帯当たりの飼育数で見ても、犬は1.25匹ですが、猫は1.79匹。

猫は犬よりも年間にかかる費用が少ないとされています。また、猫は単独行動が好きなので、散歩の必要がありませんし、基本的にはきれい好き。こういった理由から、共働き家族が増える現代では、犬よりも猫の方が飼い主のライフスタイルに合っていると言えます。

今後、飼育数が増えそうな猫だからこそ心配すべきことがあります。
人間の勝手な行動からくる「殺処分」の問題です。

殺処分される猫とは、飼い主が何らかの都合で手放した猫のこと。飼い主が行政の元に猫を届ける場合もありますが、道ばたや森に置き去りにし、捨て猫となる場合も。環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」によると、2013年度に全国で殺処分された犬は約3万頭で、猫は約数十万頭。猫の方が圧倒的に多いですね。

なかには、行政の保護施設に引き取られた後、元の飼い主に返還されたり、新しい飼い主に譲渡されることもありますが、その割合は犬の53%に対し猫は14%。猫は犬に比べて返還・譲渡される割合が低く、その分、殺処分される可能性が高くなっています。