映画『母と暮せば』の初日舞台あいさつが12日、東京都内で行われ、出演者の吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、山田洋次監督が出席した。
本作は、劇作家故井上ひさしの長崎を舞台にした作品を描きたいという思いを受け、山田監督が終戦70年の今年、映画化。長崎を舞台に、原爆で亡くなった息子と遺された母親の物語を描く。
吉永は初日を迎え「“山田丸”という大きな船に乗って、キャストとスタッフが、心も力も合わせて長崎を出航して、今日、東京に上陸しました」と喜びのコメントを。
二宮は「初日はうれしい気持ちでいっぱいなんですが、どこか寂しい気持ちもあって。公開へ向けてテレビや雑誌、新聞などに、きれいな服を着てきれいな髪にしてもらって出ていた毎日もなくなってしまうんだなぁと。普段の汚い格好で汚い髪形になってしまうんだなぁと思うとどこか寂しい気持ちもあります。ですが、映画自体は今日から始まりますので、皆さんの力で広めていただけたら」とあいさつした。
印象に残ったシーンを問われた二宮は「僕が歌を歌うシーンがあるんですが、そこは監督とのやり取りがたくさんあったシーンです」と回答。「監督と『もうちょっと優しくがいいんだよなぁ』、『はい!』、『もうちょっと伸びやかに』、「はい!』、『あれ、キーが違うんじゃないか?』…とやり取りをしていたら、だんたんよく分からなくなっちゃって。そのぐらい何度もやらせていただきました。でもそこはすごく、浩二という人が現れているシーンかなと思っています」と笑いを交えて語る二宮に、山田監督も笑顔でうなずいていた。
舞台では、山田監督と吉永へキャストから感謝を込めて花束が贈られ、さらに、吉永へのサプライズとして、キャスト、スタッフからの手紙を二宮が朗読した。
「製作発表から1年間、小百合さんのそばでわれわれは楽しくて充実した日々を過ごさせていただきました。撮影中の小百合さんは誰よりも気遣いの人でした」と、ゆったりと言葉をかみしめるように読み上げていく二宮。
「小百合さんと一緒の船に乗って本当に幸せな時間を過ごせました。先頭を走り続ける小百合さんはとてもかっこよかったです。その姿をいつも思いながら、一人一人がもっと頼れる存在になって、小百合さんとまた一緒に素晴らしい作品を作りたい。それが今日からのわれわれの目標です。この映画に関わった出演者、スタッフを代表して。二宮和也」と締めくくり、手紙を手渡した。
吉永は「感激しております。皆さんのおかげでやり通せたと思っておりますし、今日初日を迎えて胸がいっぱいです」と語り、目を潤ませた。