ハリウッドだけじゃない! 珠玉の海外作品

『殺されたミンジュ』1月16日(土)公開

©2014 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.

鬼才キム・ギドクが、暴力の連鎖と社会批判をスリリングに描いたサスペンス。

闇に葬られた女子高生殺害事件の容疑者のひとりが謎の武装集団に拉致されたことに端を発して、事件の裏に潜んでいたものが浮かび上がっていく。

『ファイ 悪魔に育てられた少年』(13)のキム・ヨンミンが1人8役に挑戦。ひりひりとした痛みが全編を貫く、鮮烈な作品だ。

『愛しき人生のつくりかた』1月23日(土)公開

©2013 Nolita cinema - TF1 Droits Audiovisuels - UGC Images - Les films du Monsieur - Exodus - Nolita invest

パリとノルマンディーを舞台に、母と息子と孫の3世代が織りなすハートウォーミングな人生賛歌のドラマ。

本国フランスで大ヒットを記録した。フランスの国民的歌手アニー・コルディが、秘めた過去を持ちながらも明るく生きる老女を演じる。

『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』(07)などに出演している俳優ジャン=ポール・ルーブが監督と脚本を務める。

『サウルの息子』 1月23日(土)公開

©2015 Laokoon Filmgroup

カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した、ハンガリー映画。

同国の名匠タル・ベーラに師事した新鋭ネメシュ・ラースローの長編デビュー作で、ホロコーストの現実を骨太な演出で描き出している。

強制収容所で同胞であるユダヤ人の死体処理に従事させられているサウル。彼はそこで息子の遺体を見つけ、なんとかユダヤ教の教義で葬ろうとするが……。

『ディーパンの闘い』 2月12日(金)公開

© 2015 WHY NOT PRODUCTIONS – PAGE114 – FRANCE 2 CINEMA

フランスの巨匠ジャック・オーディアールが描き出す、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞の人間ドラマ。

内戦下のスリランカからフランスに逃れるため、偽装家族となった元兵士のディーパンと女と少女。

3人はパリ郊外でささやかな幸せを手に入れようとしていたが、ヨーロッパ社会で新たな暴力に見舞われることになる。

ディーパンを、実際にスリランカ内戦で兵士として従事していた作家のアントニーターサン・ジェスターサンが演じる。

『火の山のマリア』 2月13日(土)公開

©LA CASA DE PRODUCCION y TU VAS VOIR-2015

過酷な境遇に置かれながらも、自力で幸せをつかみ取ろうとするマヤ族の女性と、彼女を見守る母親の姿を通して、グアテマラが抱える社会問題に焦点を当てたドラマ。

監督はグアテマラ出身のハイロ・ブスタマンテで、本作でベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞し、グアテマラ映画として初めて米アカデミー賞の外国語映画賞にもエントリーされた。

ドキュメンタリータッチで、尚且つ情感溢れるドラマは日本でも大きな注目を集めるはずだ。
 

わたなべ・みお ライター。マンガ・アニメ・映画などを中心に、雑誌や書籍で執筆。映画の宣伝ライティングも務める。近著に、『このマンガがすごい! 2012』(宝島社/共著)。主な著書に、『プロジェクトTHE LAST MESSAGE 海猿』『ROOKIES-卒業-~軌跡 完全シナリオ&ドキュメントブック』(共にぴあ)など。