映画、音楽、ファッション、アート……ここ最近、さまざまな分野で盛り上がる80年代ブーム。そもそもどんな時代だったの? というわけで、80年代を代表するアイドル/タレントの早見優さんと香坂みゆきさんに、当時の芸能界事情からおすすめの80'Sカルチャーまで、ざっくばらんに語ってもらった。
――今回の対談では“80年代という時代”を振り返っていただきます。当時、エンタメの大きなムーブメントとして「トレンディドラマ」が大流行しましたね。
早見「みゆきさんは、よく出ていましたよね」
香坂「そんなに出てたかな? 私が憧れていたのは、小川知子さん。『金曜日の妻たちへ』(TBS系/'83年)のころですね。そんな中で、私自身、80年代後半は歌手の活動よりも、ドラマに出演することが多くなって。現場はすごく楽しかったけれど、よくあんなにも寝ないでいられたなって、今思うと感心します(笑)。深夜の3時半くらいまで撮影して、緑山スタジオ近くのシティーホテルに泊まって、翌朝は6時半入り……みたいな感じで。私に限らず、当時はみんな元気で、体力の限界なんて考えていなかったと思います。今だったら、絶対に無理ですね」
早見「ドラマの現場は、お弁当が出るのがうれしかったですね。当時の歌番組って、お弁当が出なかったから。唯一、NHKにはカップめんを買える自販機があって、それをすごく楽しみにしていた記憶があります(笑)。当時はコンビニも今より少なかったですから」
香坂「そうそう。だから、ストッキングが破れただけで大騒ぎ。不自由だったけれど、その分、ちょっとのことでは負けないようなパワーがあったよね」
――今回はデニーズでハンバーグを食べていただきながらの取材です。当時、ファミリーレストランに来ることはありましたか?
香坂「あまりなかったですね。たまに行くとすごく贅沢な気分になりました。地方公演のときに、少し早めに現地に入って、国道沿いのファミレスに行くのが幸せでした」
早見「ロケ弁は決まったものばかりだったし、“温かいものが食べられるなんて、ラッキー!”って(笑)。当時、アン・ルイスさんにかわいがってもらっていて、よく一緒に遊んでいたんです。カラオケで朝まで過ごした後、『早見、デニーズの朝定食は美味しいんだよ』って言われたのをよく覚えてます。アン・ルイスさん、ああ見えて和定食が好きなんですよ(笑)」