仕事、家事、資格取得のための勉強……。やらなければならないことが山のようにありすぎて、何から手をつけたらいいのか分からなくなってしまったことはありませんか?
今回は、大学病院勤めの匿名看護師さんに「多忙な人に役立つお仕事の優先順位のつけかた、なんて聞けたら嬉しいです」というテーマでお話を伺ってきました。大学病院特有の激務をのり切っているという彼女の話から、有益なヒントが得られましたよ。
「優先順位」と「絶対順位」
やらなければならないことが複数あったら、一般的には「優先順位をつけることが大事」なんて、よくアドバイスされますよね。しかし、筆者は実際にそれを心がけてみても、うまく物事が運ばないことが多いのです。
そこで、その看護師さんに「おいそがしい時、どうやって優先順位決めてるんですか?」という質問を投げかけてみたのですが、返ってきたお言葉は
「優先順位にこだわる人には、あんまり仕事ができない印象がありますね」
……えーと、それはどういう意味だ?
その看護師さんが話してくれたのは、その場において優先すべき重要な件とは別に、人の心の中にはどうしてもどうしても譲れない、「絶対順位」が高い物事があるのだということ。
- 「優先順位」……周りの状況を総合的に判断して決めるもの。
- 「絶対順位」……その人にとっての「絶対」を尺度として決めるもの。
状況全体を見たら「優先順位」が低そうでも、その人の価値観では強くこだわりたい、「絶対順位」が高い物事がある。そのことを頭に入れておくだけでもものの見え方は違ってくるし、頭から抜けていると現場が硬直状態に陥る場合もある、と、そのかたは言います。
譲れない願い
病院に来る人たちの中で絶対順位が高いのは、「治りたい!!」「助かりたい!!」ってこと。症状に差があっても、一人一人がそれぞれに、これを強く願っています。
たとえばの話。ある人が風邪で病院に行ったら、その数分後、風邪よりずっと重い病気の人が待合室に入ってきたとしましょう。風邪ひきさんは、その場の雰囲気から「重病患者の治療が優先されるんじゃないか」と直感するかもしれません。
しかし、「誰かが助かるのなら、私は我慢できる。あの人の苦しみを考えたら、私の風邪なんか治らなくてもいい」などと言えるでしょうか。
いいえ。
その場に患者さんが100人いようと1000人いようと、どんな怪我や病気の人と居合わせても、その人自身はやはり風邪を治したい。その希望は、手放せる種類のものではないです。自分が健康になりたいというのが絶対順位ナンバーワン。それが、当然の心のはたらき。