絶対順位を無視しない

毎日毎日どこかしら具合の悪い人と会っているお医者さん、看護師さんから見たら、少しくらいの怪我や体調不良は珍しくありません。正直、「優先順位は低いかな?」と考えてしまうケースもないわけじゃないのだとか。

しかし、自分をないがしろにされたと感じたら、患者さんは不安を不満に変えてしまうでしょう。その結果、患者さんからのクレームにつながったり病院の評判が下がったりして、よくない状況を招くことだってあり得ます。

「こちらで決める順番は状況によって前後させられても、その人にとって最も大切なものは動かせない。それを軽く見るから場が荒れる。どんなにいそがしくても絶対順位を無視しないことで、仕事はうまく回っていくと思う」と、その看護師さんは話してくれました。

絶対順位が高いもの(1) 第六感

優先順位だけでなく絶対順位も大事にする。あるいは、優先順位と絶対順位をうまく使い分けるといいですね。これは、他の職業でも活かせるナレッジだと思います。
一般企業のお仕事に置き換えて、考えてみるとしましょう。

極端な例ですが、業務メールが1日に300通くらい届くとします。その日のうちにどんどんメールチェックしていかなければ、メールボックスに大量の未読メールが溜まってしまいます。どのように処理していったらいいでしょうか。

「優先順位」をつけて処理するならば

  • メールタイトルに「重要」「要返信」などと書かれたもの。
  • 「締切間近」などと期日が設定されているもの。

を優先的に開封、返信していくことになりますね。

ところが、メールタイトルや送信者名を目にした途端、ビビビッと第六感がはたらくことがあるのです。急ぎの内容ではないけれど、「行く行くは事業にプラスになることが書かれていそうな気がする!」という予感だけが走る瞬間です。

今現在の業務を進める上では、必ず読まなければならない内容ではないかもしれません。だけど、放っておくとスッキリしない。引っかかる。アタマの中が便秘を起こしたみたいに。

第六感は、絶対順位が高いものの一つ。優先順位は低いと侮ると、集中力を削がれます。目の前のことに集中できないのは非効率。仕事のスピードが落ちたり、ケアレスミスが発生したりする原因にもなります。

自分の中ですごく気にかかる、「絶対順位」が高いメールがあるのなら、そちらをチェックしてからのほうが仕事の流れがスムーズになるかもしれません。

絶対順位が高いもの(2) 家庭の平和

結婚し家庭を築いた人なら、働いて家にお金を入れるということに重きを置いていますよね。日本で暮らすにはお金がかかる。それが現実ですから、最優先事項に近いはずです。

でも、家族は「パパ、なるべく早く帰ってきて~!!」と望んでいたりします。それと、「今、パパはお仕事がいそがしいんだよ」と一言伝えただけでは、どれほど大変なのかを想像できない家族も少なくないのです。

残業が増えると、「えー、また帰りが遅くなるの?」と口を尖らせる配偶者や子どもたち。「なかなか帰ってこないってことは浮気してるんじゃないの」「人が汗水垂らして働いているのに、おまえナニ考えてるんだ」とケンカになるご夫婦もいます。

そういう場合、仕事には期日があるけれど仲直りに締切はない……と考えて、仕事を優先してしまう人が多いような気がします。しかし、亀裂を放っておくと家庭の平和が崩壊するかも分かりません。

「家族愛」は最高に絶対順位が高いものです。恋人や家族は、たとえ優先できない都合が生じたとしても、自分にとってかけがえのない存在です。こちらを早めにケアしたほうが、安心して仕事に打ち込めるのではないでしょうか。
可能であれば繁忙期に入る前に、家族と過ごす時間を作るなどの工夫をするとよさそうです。。

何も仕事の話に限ったことではありませんね。人生のあらゆる局面で、どんな順番で物事を進めるかは成功の鍵を握っています。

理想的なのは「優先順位」と「絶対順位」のバランスがとれた状態です。もしスムーズに事が運ばなくなったら、思い出してみてください。利害を優先する「優先順位」とは違うものさしが、誰の胸の内にもあるということを。

周りの状況とは関係なくあなた自身がこだわる、「絶対順位」が高い物事は何でしょうか。あわただしい日々の中で見失いそうになってしまう大切なものを、いま一度確認してみませんか? 少しでも参考になれば幸いです。

女性の生きにくさをちょっぴり軽くするコラムニスト。医療従事者向けの情報サイトでメディカルコミュニケーターを勤めたのち、『OKGuide』にて読者のあらゆる疑問・お悩みを解消に導くガイド記事を提供している。今や絶滅寸前の女子短大卒。