小酒部さんは、自身のマタハラ被害の経験から「マタハラNet」を設立し、女性の全面的な職場参加を支援。
2015年にはアメリカ国務省が主催する「世界の勇気ある女性賞」を日本人で初めて受賞。

これは、「個人的な危険を顧みることなく、大きな勇気とすぐれた指導力を発揮して人権、男女平等、社会の進歩を訴える活動をしてきた女性を称えるため」に2007年に創設されたもの。
世界各地の新たな女性指導者に敬意を表する、国務省唯一かつ最大の賞です。

小酒部さんが同賞を受賞したということは、「日本のマタハラ」は勇気を持って戦うしかないほど、問題が山積していると言えるのです。

同じような境遇の女性と会い、アドバイスを繰り返す小酒部さんは、マタハラを受けやすい人には大きくわけると、5つのパターンがあると、1月8日に刊行したばかりの『マタハラ問題』で語っています。今回はその特徴を見ていきましょう。

マタハラを受けやすい人、5つのパターン

まず1つ目が、「フロンティアになる女性」。
これはつまり、職場で初めて産休・育休を取得する女性です。

こういった立場の方は、マタハラを受けやすくなります。そもそも会社側に産休・育休を受け入れる制度がしっかり構築されていないことも多く、手続きや必要書類を取得者自身が調べて用意しなければならないことも。未成熟な制度のため、受け入れ体制が整っていないことも。

復帰を目前にして、「戻る場所が無い」といった理由から退職強要をうけるパターンがあります。

続いて、「勤続年数が短く“まだ何も会社に貢献していないのにもう休むのか”と言われる女性」も、またマタハラ被害を受けやすいとのこと。

入社早々に何を言っているのだという雰囲気になり、「人材募集の費用に○○○○万円も使ったのに」「堕ろさないなら退職しろ」などと会社側からマタハラを受けます。
ここでの中絶の強要は、決して許してはいけない問題と言えます。

3つ目は、「重いつわりや切迫流産・切迫早産・その他合併症などになってしまう女性」。

産休に入るまでに休みがちになってしまうなど妊娠の状況が順調でない場合、「長期休暇の前からこんなに休んで大丈夫か」「もう辞めた方がいいのではないか」と、社内のマタハラが始まるのです。

4つ目です。1回目の産休・育休ならまだしも、2,3回目の申請をする2人以上のお子さんがいる女性もターゲットになりがちだといいます。

2人目の妊娠をきっかけに会社を辞めさせられたり、人事異動をさせられた女性がいます。なかには、妊娠したことを謝罪させられた女性がいると小酒部さんは語ります。

最後に、非正規雇用で働く女性です。

そもそもこの国では育児休業を利用した後に、職場復帰した割合が非常に少ない。正社員では43.1%となっており、パート・派遣など非正規社員はわずか4%です。

契約社員・派遣社員・アルバイトでも産休は取得できますし、一定の条件を満たせば育休も可能です。しかし、会社側にそういった知見がないため、誤った対応をされ、会社を辞めてしまう女性がいるのです。

これらは全て、あってはならないことです。