“ジャパニーズフェチ”をリードするフェチフェス

2016年は、1月からフェチフェスが大盛況。新たな“フェチ”ブームがあちこちで胎動していました。日本のサブカルチャーをアジアに発信する「ベストセラー台湾」の出展もあり、フェチフェス台湾進出の予感!?

フェチフェスはいったいどこへ向かおうとしているのでしょうか?

フェチフェスとのコラボが注目されるアート集団・東京棲んでるガールズと、フェチフェス代表・佐藤サドさんへのインタビューを通して、“ジャパニーズフェチ”の未来を考えてみました。

東京棲んでるガールズ

“愛とゆるし”をテーマに活動するHENTAIポップアート集団・東京棲んでるガールズ。フェチフェス07には、リーダーのハララビハビコさんと広報担当のしんろくさんが参戦。グッズ販売とパフォーマンスが大盛況でした。

東京棲んでるガールズ(左から、ハララビハビコさん、きさのさん、しんろくさん)

ハビコさんに赤い縄をかけられているのは、くすぐりフェチ集団「KS(くすぐりが好きなんです)」の売り子・きさのさん。身体の自由を奪われ、しんろくさんに言葉でいじられ、きさのさんは恥ずかしそう……。その“恥ずかしい”をアートに変えるのが東京棲んでるガールズです。

そして、東京棲んでるガールズといえば“ふんどし”!!

東京棲んでるガールズのオリジナルふんどし

というわけで、しんろくさんに、昨今のふんどしブームを解説してもらいました。

「ふんどしは、“健康”“アート”“フェチ”と、それぞれのフィールドのニーズを重複的に満たしています。

ふんどしは下半身をゴムで締め付けません。そのため、全身の血流が改善して子宮を冷やさないのです。締め付けの無い解放感が女性たちに好評なのでしょう。

そんなふんどしの機能に気付いたクリエイターたちがふんどしのデザインに着手し始めました。白一色だったふんどしは、フリルが付くなど、多彩な変化を見せています。オーガニック志向の女性のみならず、新しいもの、珍しいもの好きなサブカル女子にも受け入れられています。

また、下着のデザインの充実は新たなフェチズムを触発します。リデザインされたふんどしが“和フェチ”に取り込まれています。

こうしたふんどし本来の魅力に女性たちが気付き始めたため、ふんどしブームが起こっているのでしょう」

そんなふんどしをテーマにした「ふんどしプァッションナイト」が、東京棲んでるガールズ×フェチフェスのコラボで実現!2月19日、阿佐ヶ谷ロフトAで開催決定!!

フェチフェスは、東京棲んでるガールズとのコラボを通して、“ジャパニーズフェチ”の新境地を切り開きます。

フェチフェス代表・佐藤サドさんが語るフェチ動向

フェチフェス代表の佐藤サドさんは、昨今のフェチ動向をどう考えているのでしょうか?

仮面のジャージさんに捕われた佐藤サドさん(の人形)

「フェチフェスに象徴されるイマドキの“フェチ”が現れるには、三つの土壌があったと思います。

一つ目の土壌は、フェチのアート化です。フェチは、もっぱら隠れて楽しむ嗜好でした。ところが、ネガティブな面をもつフェチが、昨今の日本の若いサブカル女子たちによってポップに消化され始めました。2010年前後から、10代20代の女子たちが、男性向け漫画を読んだり、刺激の強い表現を好んだりするようになってきます。彼女たちはフェチをアートとして捉えています。アートでポップなものだからこそ、人前で堂々と自分のフェチを表現します。

二つ目の土壌は、日本独特の表現事情です。映像では直接的な表現が規制される中、性についてイメージ重視の屈折した表現が発達しました。こうした事情がフェチ文化の背景にあります。

三つめの土壌は、90年代後半に現れたインターネット文化です。それまで孤立していた少数派の人たちが、ネットを通じて仲間と知り合ったり、個人の創作物やマイナーな趣味を知ったりするようになりました。その結果、twitter などのSNSを中心に、ニッチな分野が盛り上がりを見せています。

これら三つの土壌が生み出すサブカルチャーを上手く吸い上げた表現として、“フェチ”というコトバがぴったりハマったのでしょう。だからこそ、サブカルチャー表現の場所、仲間を作る社交場、欲望発散させるお祭りとして、フェチフェスが注目を集めているのです」

佐藤サドさんが語るフェチの話は深いですね。さまざまなフェチとアートが共存するフェチフェスは、2016年も“ジャパニーズフェチ”をリードします!!

家庭教師を本業とするライター。アート、教育、地域情報を軸に、広く文化全般を対象に執筆。まじめに教材作成をする一方、サブカル、妖怪、アングラ、フェチなどに関連するイベントを一眼レフ片手に取材します。「好きな人を応援する」がモットー。

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