台風直撃! シリーズ最大の危機
『ローカル路線バス』はこれまでも様々なトラブルに見舞われてきた。今回も例外ではない。台湾全土に大きな被害をもたらした大型台風が直撃したのだ。
シリーズの鬼門となっている“魔の三日目”にはなんとバスが全線「運休」というシリーズ最悪の危機が訪れた。
太川「まだ半分近く距離が残ってたからね。ああ、ダメかもしれないなって思ったよね。『どうしよう、映画なのに』っていう思いはずっと頭の中にありましたね。中途半端な終わり方になっちゃうかもなって。蛭子さんは『希望は捨てない』って言ってたけど」
蛭子「え、言ってましたっけ? そんなの。希望は捨てない……。実際にはもう無理だろうなって思いましたね」
太川「(笑)」
蛭子「だって丸一日進まなかったんですもん。向こうの台湾のバスって運休を決めたらそれを変えないんですよ。『12時まではもう動かない』とか。こっちは天候が変わったら少しは動き出すって思うじゃないですか。だから一応見に行くんですけど、全然状況が変わらない。えらい堅い人たちだなって思いました、オレは」
三船「またあ(苦笑)」
蛭子「意思の堅さっていうか……、ね(笑)。お客のことを考えたら、一刻も早く動いてくれたらありがたいのに、もう動ける状態になってもね、決めたとおりにしか動かなかったんで、堅い人たちだなって」
太川「バス会社が判断できないんだよね。政府が決めるらしいから」
蛭子「ああ、そうか。現場の人たちの判断じゃないのね。それはいいことなんでしょうかねえ……?(ボソッと)」
三船「アハハハハ!」
太川「投げかけて終わるっていう(笑)」
蛭子「でも、映画として見たら、台風が来て良かったなって思いますよ。台風がないとこんなドラマチックにならずにものすごい平凡な旅だったと思いますね。“台風様様”だよ、これ」
太川「アッハハハ! スゴいこというね、蛭子さん」
三船「台風で太い木が倒れててビックリしましたよ。普通台風の中で撮影してて、なにかアクシデントがあれば“オイシイ”って思わなきゃいけないのに、宿探しに必死だからそれどころじゃなくて、上から看板が落ちてきてそれが私の顔面に当たったんですよ」
太川「当たってたの!?」
三船「当たってたんです。普通だったら『いたーーい!』とか『いまぁ!看板がぁ!当たりましたぁ!』とか言わなきゃいけないのかもしれないけど、ボソッと『痛っ』って。みんなの素が出てきちゃう。でも太川さんにも『飾っても続かないからね』って言われて開き直ってました」
蛭子「俺、看板屋だったから、あんな簡単な取り付けじゃダメだって思ってたよ。そういうのを見てちょっと台湾は日本よりも遅れてるなぁって」
三船「またそんなこと言って(笑)」
太川「でも言葉が通じなくて逆に良かった部分もあったね。蛭子さんが失礼なことさんざん言うから」
三船「『汚いビル』とか『この国は行き当たりばったり』とか」
蛭子「ええ? 言ったっけ?」
太川「台湾で公開はできないよね、きっと」
蛭子「そんなことないよ! みんなが思ってることですって(笑)」
太川「でも台湾の人は優しかったよね。ホントに親切でしたよ。1人に訊いたら10人くらい答えが返ってくる。みんな違うこと言うんだけどね(笑)」