養親を求める子どもは3万人、縁組みされたのはたった300〜400人

欧米諸国で進む「養子縁組(特別養子縁組)」制度という言葉を耳にしたことがあるという人もたくさんいらっしゃると思いますが、簡単にいうと、「産みの親の元に帰ることのできない子どもに、恒久的な家庭を提供する制度」となります。

前出の日本財団のご担当者によると、日本の特別養子縁組の件数は、年間300-400件で推移してきたといいます。しかし乳児院や児童養護施設では、産みの親が何らかの事情で育てることのできない子どもの85%にあたる3万人以上の子どもが生活していることを考えれば、養子縁組が望ましいと思われる子どもはもっと多くいることが想像できます。

国によって制度が違うので単純な比較はできませんが、アメリカでは社会的養護からの養子縁組だけで年間5万件、イギリスでは4000件以上の養子縁組が成立しています。

このことから、単純に数値だけを見てみると、日本の養子縁組の件数はまだまだ他国には遠く及ばないことがわかります。

養子縁組が子どもを育てられない人と育てたい人の懸け橋になる

養育者が必要な子どもたち、そして、思いがけない妊娠などで子どもを育てられない人たち、なかなか赤ちゃんを授からないなどの理由で子どもを育てたい人たちの懸け橋になる方法の1つが養子縁組です。

多くの人が施設で暮らす子どもたちや養子縁組の現状や仕組みを知り、さらに法律や制度が整っていくことで、きっとより多くの子どもたちが家庭での養育の機会を得ることができるのではないでしょうか。

そんな特別養子縁組の普及を目指して活動するのが、今回、お話をお聞きした日本財団の「ハッピーゆりかごプロジェクト」

日本でも、産みのお母さんへの支援や、里親と養子縁組の普及に力を入れていくことで、ひとりでも多くの赤ちゃんが家庭で育つ社会をつくることができるという信念のもと、特別養子縁組について知ってもらうため、情報を発信したり、イベントを行ったり、特別養子縁組当事者が集まることができる機会を作ったり、相談、研修、民間の養子縁組団体への援助などを行っているそうです。

 

赤ちゃんが健やかに成長するには、親(養育者)が必要です。

何らかの理由で産みの親がその役割を果たせない場合でも、他に子どもを育てられる人が育てる。

このような図式が一般化され、当たり前になることで、子どもを安心して産むことができ、また、育てていくことができる社会となっていくのではないでしょうか。

FMラジオ放送局、IT系での仕事人生活を経て、フリーランスモノ書き。好きなものは、クラゲ、ジュゴン、宇宙、絵本、コドモ、ヘンテコなもの。座右の銘は「明日地球がなくなるかもしれないから、今すぐ食べる」。木漏れ日の下で読書と昼寝をする生活と絵本に携わることを夢見て、日々生きています。