個性的な美術部員たちの日常を優しい目線で描きます! 『スケッチブック~full color's~』
『コミックブレイド』誌で連載されている長寿4コマ漫画『スケッチブック』(小箱とたん著)をアニメ化した作品が、この『スケッチブック~full color's~』。
福岡県にある、とある高校の美術部。その美術部に所属している部員たちは、人前で話すのが苦手な人見知りの少女・梶原空ほか、個性派でちょっぴり変わった生徒ばかり。このアニメは、そんな部員たちが過ごす学校生活の様子を四季折々の情景を織り交ぜながら描き出し、ハートフルな物語を紡いでいきます。
その目線はどこまでも穏やかで、人間的な温かみに溢れており、ちょっと風変わりなところはありつつも、楽しそうに学校生活を送る登場人物たちの姿は、観る者の胸に幸福感とジンワリとした余韻を残してくれます。
また、原作漫画における日常生活の中に潜む可笑しみを見事に切り取った"あるあるネタ"の数々や、個性的なキャラクターのやり取りによる笑いの要素はそのままに、アニメ版では、ストーリー面における描写にも力が注がれており、よりドラマ性が強められているのも特徴です。
特に、最終回のラストシーンで空が見せてくれる、小さな……でも、確かな成長を感じさせてくれる大きな"一歩"は、このアニメの自然主義的な作劇が結実された名場面となっています。
目の前の鮮烈な風景をスケッチブックに写しとることで、その瞬間を永遠のものにするように……何気ないけれど、だからこそ、かけがいのない高校生活の一場面を巧みに描写するイノセントなシナリオと、そこから浮かび上がる各キャラクターの魅力は、心の深い部分に染み渡るような感動を与えてくれること間違いなしです!
花澤香菜さん演じる空のモノローグを中心とした台詞回しに、美しい背景美術や村松健さんのピアノによる劇伴、後に原作漫画にも逆輸入されたオリジナルキャラクター、根岸みなも(演じるは、日笠陽子さん。実は、本作は日笠さんのアニメ声優デビュー作!)の登場など、アニメ版ならではの要素も素晴らしく、まさに、漫画作品の理想的なアニメ化の一つといえます。
学校生活における"部活動"という営みを通して、そこに集う部員たちの日常を優しく描いた"日常系アニメ"の傑作として、今もファンから支持を得ている作品です。
メチャクチャにハイテンションな部活アニメを観たいなら、コレ! 『ディーふらぐ!』
軽音部に美術部、新聞部……と文化部に絞っても、実に様々な部活動が、そのテーマに選ばれているアニメの世界。
そんな中で、ちょっと変わった部活動を取り上げたアニメとして、ご紹介したい作品が『ディーふらぐ!』です。
学園一の不良として恐れられている主人公、風間堅次。そんな彼は、ふとしたきっかけから校内の変人ばかりが集まるゲーム製作部に入部することになってしまいます。その日を境に、堅次の前には人間的に偏りのある"濃い"キャラクターたちが次から次に現れ、根は真面目(で、なおかつツッコミ体質の常識人)な堅次は、気苦労が絶えない毎日を送ることに……。
『ディーふらぐ!』は、高校のゲーム制作部(作品内での正式名称は「ゲーム制作部(仮)」)を舞台にしたアニメではありますが、この作品の真骨頂は部活動そのものよりも超個性的な変人……否、"変態"な登場人物と、彼らによって生み出されるハイテンションなギャグにあります!
全員が美少女でありながら、連日に渡ってお馬鹿な奇行を繰り返すゲーム制作部(仮)の部員たちを筆頭に、重度のマゾヒストな生徒会役員(しかも、声優は福山潤さん)、ヤンキーなのに音ゲーに大ハマリしているオタク気質の不良集団、極端に酔いやすい体質なのか、ところかまわず嘔吐してしまう女子生徒などなど……こうして、登場人物を列挙しているだけで、その強烈さにクラクラしてしまうほど、劇中にはいずれ劣らぬ濃厚なキャラクターの持ち主が登場するのです。
そんな登場人物たちによって繰り広げられるドタバタギャグの破壊力は抜群!
本作は、"ボケ"と"ツッコミ"のコントラストが、非常にシッカリとつけられたアニメ作品であり、劇中で展開されるハイカロリーでハイテンポなギャグシーンは、ひたすらに楽しく、問答無用で大笑いさせてくれます。
また、ハイレベルなギャグに加えて、登場する女の娘たちが非常に可愛らしいのもポイント。特に、人気キャラの一人である高尾部長と堅次のやり取りには、ちょっとしたラブロマンスの要素もあり、"ラブコメ"的な観方をできるのも本作の大きな見どころです!
数ある部活アニメの中でも、ずば抜けてナンセンスな作品ではありますが、どこまでも真っ直ぐにギャグアニメらしいギャグアニメであり、笑いに特化した作風はインパクト十分な作品です。「笑える部活アニメ」としてオススメしたい一本!