あまり経済ニュースを読まない人も、どこかで「マイナス金利」という文字を目にしているのではないでしょうか。1月29日に日本銀行(日銀)が行った政策のことで、何度もニュースのヘッドラインになっているキーワードです。
ニュースのヘッドラインを読む限り、その影響が大きく、またどちらかといえば良くないイメージです。
金利というのはお金を預けたり借りたりしたときにつく利子のことです。銀行の定期預金が年5%の金利をあなたに提示して100万円預けたとすれば1年後には5万円の利息(税引き後は4万円)が手に入ります。
逆に年10%の条件で100万円借りたとすれば、1年後には110万円の残高にふくらみます(その間返済していなかった場合)。
しかし、マイナスの金利というのはどういうことでしょうか。銀行にお金を預けたら減らされるのは困ってしまいます。
借金すると向こうがお金をくれるのならラッキーですが、そんなのおかしいですよね。
「マイナス金利」について実はちょっと気になっていた、という人のために簡単な解説をしてみたいと思います。
異常事態! 「超超低金利」で私たちの財布に影響している
まず最初に、すでに生じているマイナス金利の影響を紹介してみましょう。それは、「超低金利が超超低金利」になった、というものです。
銀行にお金を預けてもほとんど増えない、というのは誰でも知っていると思いますが、今ではなんと「1ヶ月預けても10年預けても金利(年利)は同じ」になっていますし、「1万円預けても1000万円預けても金利は同じ」という状態になっています。
銀行のホームページには金利一覧のページが必ずありますが、とあるメガバンクでは「0.01%」という文字が表の端から端まで埋まっています。
これは、お金の常識としては考えられない異常事態です。
普通、多い金額を預ければそうでない場合に比べて高金利になるものですし、長くお金を預ける約束にすれば高金利になるものでした。その原則がマイナス金利の影響で崩れているのです。
「預金残高が減らされる」マイナス金利にはならないのでご安心を
銀行は、たくさんの人からお金を預かり、家を買う人に住宅ローンとして貸したり、企業の事業資金を貸して利息を取り、その一部を預金者に返します。
ところが、預かったお金をすべて貸し出すことができないため、債券や株式を買ってみたり、日本銀行に預けて利回りをもらっていました。
この銀行と日本銀行とのあいだのやりとりについて、日本銀行が利息を渡さず、むしろマイナスにして戻しますよ、というのが今回の「マイナス金利」です。
ですから、私たちの預金の金利がマイナスになって、預けたお金が目減りしていくのがマイナス金利政策ではないのです。
しかし、銀行は安全確実な預け先であった日本銀行にお金を置くことができなくなるため、私たちへの預金の金利を約束する自信がなくなり、預金者への利息を引き下げてしまいました。
そのため、超超低金利になってしまった、というわけです。