みんな大好き、医療ドラマ。最近では、長瀬智也さん主演のTVドラマ『フラジャイル』を毎週楽しみにしていたというかたも多いのでは。
ところで、当のお医者さんから見た医療ドラマってどんな感じなのか、知りたいと思ったことはありませんか。現実とドラマは違うわけですが、具体的に言えばどんな場面があり得ないのでしょうか。また、「こういうことはあり得る」というリアルな医療ドラマもあるのでしょうか。
多忙なドクターを無理矢理つかまえて、ぶしつけにもお話を聞いてみました。
医療ドラマにおける「あり得ない」3大要素
最初にお話を伺ったのは、医師専用コミュニティサイトのMedPeer(メドピア)さん。アンケート調査『医師10万人のアンケートでわかる!お医者さんのベストチョイス 第3弾』を行い、医療ドラマのあり得ないシーンを大公開していらっしゃいます。
同調査から見えてくる、医療ドラマの現実ではあり得ない3大要素は、
- 屋上シーン。何かと言えば上がりたがるけれど、立ち入りを許可されていない病院が多いし、頻繁に行く暇もないはず。
- 患者を「クランケ」と呼ぶのは、無理めなドイツ語遣いが時代遅れな印象。「患者さん」「患者さま」でいいのでは。
- イケメンや美女ぞろいで画面が華やかすぎる。現場はそんなんじゃない。実際のお医者さんはもっと疲弊しているぞ。
といったところ。そうでしょうね。一般の視聴者も少し違和感をおぼえながら、でも「ドラマだから仕方ないか」なんて思ったりしています。
あり得ないドラマの代表格『ドクターX』
さらに、「お医者さまからご覧になって、どんなドラマがあり得ないんですか?」とあつかましくも質問をぶつけてみました。さて、MedPeerさん登録ドクターのお答えは……?
真っ先に挙がったのは、米倉涼子さん主演の『ドクターX』。来ました! これはドラマならではの展開が痛快ですからね。
どこを斬っても「あり得ない」天才外科医・大門未知子。外見はハデだし態度は横柄、手術は異常に手早く、その上、患者の回復まで早いと来ています。
きっと現実的であることなど重視していないであろうドラマですが……、お医者さんにとってどうしても気になってしまうのが、毎回出てくるあのキメ台詞です。
- 私、失敗しませんから。カッコいいが、言いたくても言えません。(50代、循環器外科、男性)
- 患者に対して絶対失敗しないとはなかなか言いづらい。失敗しないと言うよりも、起きうるリスクを丁寧に説明する。(50代、眼科、男性)
それどころか、
- 「私、失敗しませんから」など言えば、医療安全管理者の指導が入りますね。(50代、麻酔科、男性)
とまで。大変です。あのセリフ、お医者さんが実際に口にすると問題になってしまうんですね。ただ、あれほど絶対的な自信を持って臨めたらいいよなあ…と思っているお医者さんはいらっしゃるようです。
ドラマ全体にあふれ返る「あり得なさ」こそが『ドクターX』の持ち味ですが、実は最新の手術機器が見られるため、外科医のかたも注目するとのことです。意外にも(?)お道具関係は「あり得る」と認定!