「キレる」。

この言葉は、つい最近まで若者を対象にするものでした。

思い出されるのが、2000年に起こった西鉄バスジャック事件や岡山金属バット母親殺害事件。
いずれも犯人は17歳だったこともあり、その当時、「キレる17歳」という言葉が話題になりました。

また、近頃では「82年生まれに犯罪者が多い」といった声も聞こえてきます。

神戸連続児童殺傷事件の元少年Aをはじめ、栃木での女児殺害事件で無期懲役判決となった勝又拓哉容疑者もこの世代。
秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大被告やPC遠隔操作ウイルス事件の片山祐輔被告も同じです。

もちろんこの世代の犯罪者が多いのではなく、たまたまインパクトのある事件が多かっただけですが、この「キレる」という言葉は、こういった若者に対して当てはめてきました。

ところが、近頃はこの流れが変わってきたようです。というのも、駅で、コンビニで、病院で、銀行で、キレる中高年の男性がなんと多いことか。

“突然キレる”男性が増えている!?

人身事故や積雪での電車遅延。駅員に対して「一体、何時になったら動きだすんだ!」「こっちは約束があるんだ!」と詰め寄る男性。声を荒げたところで電車は動きませんし、現地の駅員ではないので、復旧のメドなど正確な情報はすぐにはわかりません。

また、コンビニでもこういったシーンに遭遇します。どうしても混雑しがちなお昼時、お弁当などの温めものがあるため、レンジを使いながら袋つめしたり会計をしたりとコンビニスタッフは工夫しているにもかかわらず、行列から「遅いぞ!いつまでチンタラやっているんだ!」の暴言。店内の空気も悪くなるので、やめてほしいもの。

病院や銀行でもそう。「いつまで待たせるのだ!」からはじまり、「昼休みがあと20分しかない!」と個人的な事情を声高にさけび、最後には「お前じゃだめだ、責任者を出せ!」と怒り狂う。こういったシーンを見かけた人も多いのではないでしょうか。

なかでも驚きなのが、いかにも文句を言いそうな男性ではなく、見た目は良識のあるような男性がこういったことになっているのです。

もちろん、情報社会になるにつれてこういった事例を知る機会が増えたこともあるのですが、書籍『中高年がキレる理由』でも、「公共の場で突然キレる中高年が増えている」と紹介されています。

「人生の折り返し点、劇的な社会の変化、家族をめぐる葛藤――」など、様々な問題を抱えやすいのがこの世代の男性。
解決のヒントはないか。同書を開いてみました。