ソレイユパッションは「ひと粒のご褒美」


――今回、ソレイユパッションというシャーベットタイプのフレーバーが発売されました。これは女性をターゲットにした商品なのでしょうか。

それまでも、期間限定のフレーバー商品を毎年出していましたが、マンネリ化してきていました。そこで、ピノとしてもこれまでにないフレーバーにチャレンジするということで、2015年にルージュベリーというフレーバーを発売しました。


ターゲットは、20代の女性ですね。

そして、自分へのご褒美というテーマがあります。見た目の色と香り、味や食感といった、五感価値を高めた切り口です。

――なるほど。今年のソレイユパッションも大人女子向けなパッケージになっていますね。

ひと粒のご褒美というコンセプトを意識しています。

形状は普遍的なもので変わりませんが、フルーツの濃厚な味と香りをダイレクトに感じていただけるように、今までのピノとは異なり、乳脂肪分をほとんど使用しない設計にしました。

種類別は氷菓となりますが、一般的な氷菓のようなジャリジャリとした食感ではなく、ピノらしいなめらかな食感、チョコとアイスが同時に溶ける一体感は大切にしました。

――マンゴーとパッションフルーツという、非常に夏らしいフレーバーですが、フルーツへのこだわりを教えてください。

女性のご褒美ということで考えたときに、見た目の色や香りというのは、リラックスや癒やしに繋がるのではないかと思いました。

そこで重要なのがフルーツです。今回はマンゴーとパッションフルーツを使用していますが、かなりこだわっています。


柔らかい食感・サイズにこだわったマンゴー果肉と、マンゴーの王様と呼ばれるアルフォンソマンゴーピューレをふんだんに使用し、マンゴーの濃厚ジューシーな味わいを立たせています。

そのため、本体の価格が160円と、通常のバニラの130円に比べると高くなってしまっています。

しかし、コストを安く仕上げようという考え方はありません。コストではなくおいしさが重要なので、開発段階でおいしくなければ、もっとよい原料を使って、価格を少し上げようという考え方でやっています。

――同時に「ピノ ハッピーベリーアソート」も発売されました。こちらはどういう経緯で開発されたのでしょうか。

40周年の記念として、何かやりたいなということになりまして。

ピノのブランドが“ひと粒の幸せ”というコンセプトなので、幸せのイメージがあるピンク色のストロベリーチョコですべて統一した商品を作ろうということになりました。

マルチタイプは、家族や友だちと分け合うという、基本的に楽しくて幸せなシーンに登場するので、そのような場でこの商品を食べていただいて、みなさんに幸せが広がればいいなという思いを込めて開発しました。

バニラ、ストロベリー、ミルクチョコのアイスを、ストロベリーチョコでコーティングしています。

ピノの新フレーバー開発期間は1年以上!

――新しいフレーバーの開発は、どのようなスケジュールなのでしょうか。

1年前にはアイデアを考えて、依頼書を研究所に提出します。

そして、研究所から試作品が上がってきて、それを評価していきながら完成を目指すといった段取りになっています。

――1年前にはすでに来年のフレーバーの開発が進んでいるんですね。

はい。ただし、ソレイユパッションは2年前から考えていました。

新たなチャレンジをする場合はだいたい1年半~2年は必要ですね。今回のソレイユパッションはマンゴーの果肉にこだわっているのですが、これも1年くらいかけて何十種類も試して、サイズや食感、味などを決めました。

ピノは、安心感のあるおいしさ、期待通りのおいしさを期待されている製品なので、その期待を裏切れません。新しい商品にチャレンジをしても、おいしさはしっかりと意識しています。


――ソレイユパッションは、パッケージも鮮やかで。トレイが金色で、こういうところにもこだわりが感じられますね。

金色のトレイにラメ入りの赤ピックという(笑)。

このピックのラメは非常にわかりづらくて。でも、こういう細かいところに気を使うのが、ピノらしいかなと思っています。


――ピックの先端も、以前とは変わっていますね。

先端が尖っていると危険なので、安全性を高めるように改良しています。

実はトレイやピックは何回も改良しています。

トレイは、ピックが動かないようにへこみを作ったり、ピックの首の部分も丸から六角形にして安定性を高めたり。

ピノのコンセプトは“ひと粒の幸せ”なので、いかにピノで幸せを感じていただけるかということを考えてます。味はもちろん、ピックの数字だったり、隠れた仕掛けをしたり。

お客さまがニコっと笑顔になるような仕掛けをピノでは大事にしています。

ロングセラーの秘訣はピノの「おいしさ」

――その話に繋がるんですけど、アイスは毎週ごとにいろいろな新商品が発売されていますが、ピノというブランドは長い間愛され続けています。その理由はどこにあるのでしょうか?

ひとつは、定番のバニラが非常に安定した売り上げを維持しています。

これが、お客様とピノを繋げている接点となっています。

その根底にはいつの時代でも「おいしい」ということがあると思います。そのために、時代によって微妙にブラッシュアップをしているところが、時代が変わってもお客様に「おいしいね」と言われている部分だと思います。


あとは、時代に応じたラインナップ展開をしているところですかね。

1992年に家族向けとしてアソートパックを発売したり、2004年には期間限定品でいちご味のピノを発売したり、ソレイユパッションは一口のご褒美というように、時代に合わせた見せ方を随時行っている点です。

――これだけさまざまな種類のアイスが登場している中、類似品が他メーカーからあまり出ていませんね。

ひと口形状のアイスは過去にも他メーカーから発売されていますが、ピノの特徴的なカタチやピックスタイル、何より“安心感のある味”が、長い間愛して頂いている理由だと感じています。