テクノなサウンドと共に楽しむ、爽やかな青春群像劇! 『チア男子!!』

サウンドトラックに使用されている音楽と、アニメ本編のドラマとの間に、良い意味での意外性があり、それがユニークな効果を挙げている作品としてオススメしたい夏アニメが『チア男子!!』です。

主人公である大学生たちが男子だけのチアリーディングチームを結成するべく奮闘する姿を描いた青春アニメな本作。朝井リョウ先生の原作小説を、人気脚本家の吉田玲子さんによるシリーズ構成でアニメ化した作品ということで、その丁寧な作劇に先ずは心を持っていかれてしまいますが、何ともユニークなポイントが劇伴にテクノ・ミュージックが大々的に使用されている点です。

"チアリーディング"というフィジカルな競技、スポーツを描く上で、機械的でデジタルなイメージがするテクノ・サウンドは少しばかり相性が悪いのでは……と、第一話の冒頭を観た瞬間、ほんの少しばかり不安を覚えたのですが、本編を観てみて、それがただの杞憂であったことを思い知らされました。

サウンドこそ電子音ではありますが、そのメロディにはヒューマニズムが宿っており、"青春アニメ""スポーツアニメ"である本編との親和性も抜群。齟齬を起こすどころか、ドラマ性を強める上で、高揚感のあるサウンドが上手くバックアップをしているのです。

思えば、チアリーディングとは、スポーツであるのと同時に、ダンスの要素もある競技。成る程、ダンス・ミュージック的な色合いも強いアッパーなテクノは、作品のモチーフ的にも確かにシックリきます。

物語は、まだまだ序盤ですが、チームのメンバーが揃い踏みし、大人数でパフォーマンスを繰り広げる中、サウンドトラックが流れた瞬間のエクスタシーは、きっと筆舌に尽くしがたいものになるでしょう。『チア男子!!』、音楽的にも最終回まで見逃せない作品になりそうです。

ちなみに、本作で劇伴を担当しているのは、J-POPアーティストへの楽曲提供も行っているトラックメーカーのTAKAROTさん。どうやらアニメのサントラを手掛けるのは、この『チア男子!!』が初のようですが、それで、これだけ作品にピッタリな楽曲を作れてしまうとは……。これは、サウンドトラックを購入して、フルサイズで各トラックを聴き込みたいところですね。

アニメファンにはお馴染みな名作曲家の仕事を味わいたい! 『不機嫌なモノノケ庵』

最後に、その劇伴をオススメした作品が『不機嫌なモノノケ庵』です。

本作の音楽は、数多くのアニメ作品に参加し、名曲の数々を生み出してきた高梨康治さんが担当しています。

『フレッシュプリキュア!』から『スマイルプリキュア!』に至るまでのプリキュアシリーズで、ヘヴィでメタリックなサウンドトラックを創り出し、"キュアメタル"の愛称でも知られる高梨さんですが、『NARUTO』や『地獄少女』シリーズの劇伴で耳にすることができるように、「和」のテイストをサウンドに取り入れるテクニックが非常に巧みな作曲家さんでもあります。

妖怪をモチーフとし、茶室や和装が重要なビジュアルイメージとなっている本作において、高梨さんの起用は、まさに"適任"といえる人選です。

ストリングスの幽玄的な響きや、シリアスな場面で緊迫感を引き立てるハードなサウンド、そして、ポップで明るいメロディまで揃った『不機嫌なモノノケ庵』のサウンドトラックは、これまた聴き応え抜群!

また、各パートでのトラックの用い方も本作は上手く、演出的な部分でも見どころが多くあります。

妖怪が登場する作品で、高梨さんが劇伴を手掛けたアニメというと、『我が家のお稲荷さま。』が思い出されますが、この『不機嫌なモノノケ庵』も『我が家お稲荷さま。』と同じく、人と妖怪のハートフルな交流がドラマのメインとなっており、個人的にも毎週の放映を心待ちにしている作品の一つです。

秋からは、『ALL OUT!!』と『SHOW BY ROCK!!』(第二期)という2本のテレビシリーズと、WEBアニメの『怪獣娘~ウルトラ怪獣擬人化計画~』で、劇伴を手掛ける高梨氏。もはや、アニメの音楽に欠かせないマエストロとなっている高梨さんの見事な作曲術を堪能できる『不機嫌なモノノケ庵』に、どうかご注目ください。

都内在住の極々平凡なサラリーマン兼、アニメ、音楽、プロレス、映画…と好きなものをフリーダムに、かつ必要以上に熱っぽく語るBLOG「さよならストレンジャー・ザン・パラダイス」管理人。永遠の"俺の嫁"である「にゃんこい!」の住吉加奈子さんと共に、今日も楽しいこと、熱くなれることを求めて西へ東へ。