日本の子どもの自己肯定感が諸外国と比べて低いということは、よく聞かれるようになりました。
内閣府が公表した令和元年版「子供・若者白書」の特集「日本の若者意識の現状~国際比較から見えてくるもの~」の中には、日本人の若者がアメリカや韓国、スウェーデン他に比べて、自分を低く評価しているという調査結果が載っています。
今のところ、子どもや若者の自己肯定感を上げるための具体的な施策は打ち出されてはいませんが、子どもの自己肯定感を上げるためにはどうしたらいいか、といった類の本は何冊も出版されています。
しかし、何冊も出ているということは、結局、問題は解決していないということではないでしょうか。子どもの自己肯定感の低さの根っこになにがあるのか、そこを見つめることなしには根本解決は難しいと思います。
今回ご紹介する書籍『子どもの将来は「親」の自己肯定感で決まる』は、タイトルがそのままズバリ、結論です。
著者の根本裕幸さんいわく、親が関西弁を話していたら子どもにもそれがうつるのと同じ、自己肯定感もうつるものなのだそう。当たり前といえばそうですが、そのことに気づいていない人はけっこう多いのではないでしょうか。
現代は、子育てに自信がなかったり、自分は悪い親だと思い込んでいる人も多いようですが、親の罪悪感をなくすだけで、子どもにいい影響があるというのですから、子どもの自己肯定感を育てるために、まず自分のことを振り返ってみませんか。
子どもはとにかくママが大好き
ママがしていることならどんなことでもマネしたい、というのが子どもです。もしママが、自分のことを「私なんてダメなママ」と過小評価していたら、子どもだってそうなりかねない、ということなんです。だって、子どもはママの大ファンなのですから。
なかには、おどけたり、ふざけて、一見親の影響を受けていないように見える子どももいます。 あれだって実は、ママを元気にしたくて、あえて道化役をしてくれているのかもしれないのです。ちょっと胸が痛みますよね。下の子どもによくみられる気がします。
子どものためにもママは笑顔でいるのがいいと、わかってはいても、子育て中はそんな余裕がないかもしれませんね。
髪はぼさぼさに、常に睡眠不足、風邪をひくとなかなか治らないなどが重なると、笑顔ってどうやってつくるんだっけ? と途方に暮れてしまいそう、というママも多いのでは?
まず自分の機嫌を自分で取る!
とはいえ、無理して明るくみせる必要はありません。子どもは、親のそんな演技さえ、簡単に見破ってしまいます。「自分を悲しませないようにママは無理して笑ってくれている。だから自分も楽しいふりをしよう」とまで、子どもは考えることができるのです。
だから、笑顔になるのだったら、本気で笑顔になれることを探しましょう。それが、「自分の機嫌を自分で取る」ということなのです。
親の自己肯定感を高めるためのワークが、本書にはいくつも紹介されていますが、まず「自分が笑顔になれること」を、一日5分でも、意識的にやってみるようにしてみてください。
どんなことでもかまいません。大好きなドラマの動画を5分だけ見る、でもいいですし、美味しいチョコレートをひと箱買って、毎日1つずつ食べる、でもいいのです。
自分のことは後回しにしてきた人ほど、自分を幸せにするものがわからなかったりします。人によってはなんでもない、美容院に行くようなことが、とてつもなくぜいたくに思えて、罪悪感を感じてしまう人は、小さなことから始めていくといいですね。
「私は私、子どもは子ども」
親の自己肯定感が低いと、たとえば子どもが学校に行きたくないと言い出したとき、その原因を自分のせいと感じて罪悪感を抱いてしまう親もいます。さらには子どものテストの点数が低いことまで、自分のせいと思い込む人もいるのだとか。
これは、心理的に親と子どもの間の垣根、つまり境界がなくなっているために起こることなのです。いくら血を分けた親子であっても、「私は私、子どもは子ども」。この言葉を意識して口にすることで、子どもの問題は自分の問題とは分けて考えられるようになるでしょう。
どんなに罪悪感を抱いたところで、子どもの問題が解決するわけではありませんからね。
実際、不登校になり、親が途方に暮れながらも、子どもの気持ちを尊重して放っておいた結果、ある日突然何事もなかったかのように学校に行き始めた、というケースはいくつもあるそうです。
この時、大事なのは、子どもをコントロールしようとしないこと。学校には行っても行かなくてもいい、くらいの気持ちでいた方が、親自身も気が楽です。親が楽ということは、子どもも楽ということ。
親が自分軸をみつけ、子どものあれこれに振り回されないようにすることで、子どもをひとりの人間として認め、尊重することができるようになります。