子どもの話、ちゃんと聴けていますか?
子どもがうれしそうになにか話し始めた時、ちゃんと耳を傾けてあげたいと思いつつ、忙しいからといって内容を先回りしてまとめたり、すぐに意見したりしていないでしょうか。
思春期になれば、今度は子どもがまったく話をしてくれない、何を考えているのだろう? と悩むママもいるでしょう。
リスニングママ・プロジェクト主催の「子どもの生きる力を育む話の聴き方講座」が、先日開催されました。講師は心理カウンセラーであり、リスニングママ・プロジェクトの発案者・リスナー講師でもある高橋ライチさんです。
「子育ての終わりはいつだと思いますか?」と参加者にまず、問いかけるライチさん。
その答えは、人によってさまざまだと思いますが、いつかは親元を離れ、自立して社会に羽ばたいていく子どもに、どんな力をつけさせたいか、そのために親ができることはなんだろう、と考えが広がるような有意義な講座でした。
また、人の話を聴くということが、どれだけ深く人に影響を与えることなのかも知ることができましたよ。
未来に羽ばたく子どもの自己肯定感を育てるためには、どんなふうに話を聴けばいいのか、ライチさんのお話のエッセンスをお伝えします。
子どもの“おしゃべり”を聴けていますか?
「サルが毛づくろいしているのは何をしているのか、ご存じですか?」
ライチさんの切り口は意外なところから始まります。
あれは、シラミの卵を取っているという説もあれば、皮脂に含まれるミネラルを摂っているという説もあります真偽のほどはともかく、そういった物理的なこと以外に有力とされているのが、「サルの毛づくろいはコミュニケーションの表れ」なのだそう。
その証拠に、ちがう群れからサルを1頭連れてきても、毛づくろいしないそうです。毛づくろいするのは、お互いが敵ではなくて仲間というしるしなのですね。では人間同士はどうでしょうか。
「たとえば、講座に来ても、知っている人がいたら、話しかけますよね。知らない人だと話さないから緊張したまま。このように、お互いに言葉を交わすと少しリラックスできるんです。人間にとっての毛づくろいは、おしゃべりや雑談なんですね」とライチさん。
忙しいとつい用件だけを話しがちですが、雑談は、ここは安全な場所なのだと認識するための大事なツールなのですね。
それは子どもにとっても、同じで、「子どもがアニメの話や、その日あったことなどをひっきりなしに話すことがあると思います。そんな時は、内容はともかく受け止めてあげてください」
「無駄話ができる相手が、打ち明け話をできる相手なんですね。大人でも、友達に打ち明け話をする時、重要な話だけをするわけではないですよね、最初にマクラのようなどうでもいい話をしながら、この人はこれからする話を受け止める余裕があるかな、ということを見ているわけです。
子どもも同じで、無駄話をしてお母さんは話を聴いてくれそうかな、とみているんです」
普段どれだけ無駄話をできる相手としてカウントされているかが、何かあった時に話してくれるかの指針になるのですね。一瞬ヒヤッとしたのは、筆者だけではないはず。
小学校に上がり、学年が上がるにつれ、子どもに悩みが生まれることもあるでしょう。そんな時は、一人で抱え込まずに打ち明けてほしいですよね。
「ママに言ってもちゃんと聴いてくれないし」と思われたら、それこそ悲しい!
でも、「ちゃんと聴く」にはどうしたらいいか、とまどってしまうママも、少なくないのではないかと思います。また、子どものおしゃべりを「受け止める」とは、具体的にどういうことなのか、さらに詳しく追っていきましょう。