子どもの話は主語が抜けていたり、飛躍があったりしてよくわからないこともありますから、そんな時は、オウム返しを使いながら内容をフォローすることもできます。

他に、忙しいママやお子さんの数が複数の家庭で、ぜひ取り入れたいこととして、タイマーの活用があります。つい、「ちょっと待ってね」「後でね」と言ってしまいがちですが、どれだけ待てば、はっきり分かれば、子どもも納得するはずです。

子どもが2人以上いる場合、きょうだい間で話を聴いてあげるバランスが偏ってしまうこともあるでしょう。そこはたとえ月に1回ずつでも、それぞれと個別で話せる時間は確保したいですね。子どもには、他のきょうだいには聞かれたくない話もあるものです。

先ほど述べたように、ちゃんと聴くのは数分で済むこともあるのですから、大変と思わず、まず数分から、やってみてあげてくださいね。

子どもでも、大人でも、自分の話を聴いてもらった実感というのは、快の記憶として残ります。その快の刺激を繰り返すことで、話をしたら受け止めてもらえる、また話してみよう、といういい循環がうまれてくるのですね。

聴いてあげるとどうなる?

子どもが育つうえで、自己肯定感が大切とはよく聞かれることです。さらに日本は、世界でも有数の子どもの自己肯定感が低い国ということも、どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。

ですが、どうしたら自己肯定感がつくのかについては、意外と知らない人も多いのでは。

「自己肯定感は、ほめて育てたら育つのか、といったらそうではないのですね。

ほめて育つのは、自己効力感と呼ばれるものです。やったらできる、自分には力があるといった、能力・成果に対する評価で身につくもので、これも大事ですが、うまくいかないと、一度失敗しただけで自分を否定することにもつながりかねません。

たとえば、100点取れなかったら自分はダメと思い込んでしまうなど。

これに対して、自己肯定感は、100点でも0点でも、自分という存在には価値があると感じられる親や大人とのかかわりのなかで育まれます。

そして人は、自分の話を聴いてもらうということを積み重ねると、自分は価値のある存在なんだと思えるようになっていくんですね」とライチさん。

話を遮られずに、意見やアドバイスなしで、ただ聴いてもらう、そんな体験は、今どきは大人でもなかなかしてもらうことはないように思います。

子どもから相談をされたらアドバイスを返さなくては、と思い込んでいるママもいるかもしれませんね。でも、最終的にその問題を解決するのは、子ども本人なのです。

なにかにつまづいたり、失敗したりしても、存在自体が傷ついていなければ、またやってみようという力がわいてくるもの。その力をレジリエンス(復元力)といいます。

親にできることは、子どもに、「あなたがいることがうれしい」という姿勢で、話を聴いてあげること、そうやって自己肯定感の土台をつくる場所が家庭であれば、最悪のことにはならないのではないかと思いました。

まとめ

いかがでしたか。聴くことにそんな力があったなんて、と筆者も目からウロコが落ちたような気がしています。

とはいえ、なかなか人の話を聴く状態になれないこともあると思います。その原因は忙しいこともそうですが、もしかしたら、ママに「聴いてもらうこと」が不足しているのかもしれません。

ママ友同士のおしゃべりでは100%話を聴いてもらい合うのはなかなか難しいですよね。時間の制約もありますし、微妙なパワーバランスもあるかもしれません。また、軽はずみに口に出さない方がいいこともあるでしょう。

リスニングママ・プロジェクトでは、オンラインで20分、無料でママの話を聴いてくれる【おはなしDAY】というサービスを提供しています。(【おはなしDAY】については、こちらの記事で読むことができます)

気になる方は、リスニングママ・プロジェクトのホームページをチェックしてみてくださいね。

【取材協力】リスニングママ・プロジェクト 高橋ライチさん

コミュニケーション・カウンセラー。
1969年新潟生まれ。東京都在住。親の離婚、自身の離婚、事実婚、再婚などを経て、心理学、コミュニケーション、 パートナーシップ、家族について研究し続ける。現在は3人目のパートナー、16 歳娘、大学生のシェアメイトと暮らす。

26歳娘は独立、結婚。第2子産後に女性のためのコミュニティ「こぶたラボ」を立ち上げ、関わった親子は1000組を超える。自身のために学んできた心理学やカウンセリングをシェアしながら、オリジナルのコミュニケーション講座「ブライト・リスニング講座」を開発。 2012年(株)タンジェリン・ラボ設立。

平行して育児中の母のためのオンライン無料サービス「リスニングママ・プロジェクト」を2014年スタート。2018年NPO法人化。代表講師として「リスナー(聴ける人)」養成に携わるほか、全国のPTAや企業などへ「聴く」を伝える講演活動を展開している。

  • モットー:「人は変われる・自分を選べる」
  • ミッション:「聴くことの歓びと人の美しさに感動する体験をシェアする」
  • ビジョン:「誰もが自由に自分らしく、本当にやりたいことを実現していく社会を創る」