そんなとき「妊娠しているんだから座るのが当然」と考えてはいけません。その老人はひどく疲れていたり、内部疾患があり座っていられないのかもしれません。
そんなとき、マタニティマークをぶら下げて「“妊婦様“なんだから! 私に譲ってよ!」という態度で居ると、相手に不快感を与えることもあります。
3歳児と80歳の老人が優先席付近にいる場合も「幼児が優先か?老人が優先か?」迷いますよね。
こんなときは、譲り合いの精神で「私が座って当たり前」という態度をしない気遣いが大切です。
また、せっかく席を譲ろうとしたのに「気を使ってもらったら申し訳ない」の気持ちが強すぎて「いいえ、結構です!」とつっけんどんに断るのも相手に不快感を与えます。
言葉に出さないとしても、上手に「席を譲ってほしいオーラ」「いいえ、私は立っていても大丈夫ですオーラ」を出すことができるといいですね。
様々な「マーク」への理解が進まない原因
このように、妊婦意外にも、老人・子ども、体調がすぐれない人、疲労感がひどく座りたい人、内部疾患のある人など、思いやりを必要とする人はたくさんいます。
そんな中「妊婦だけが優遇されるなんておかしな話だ」という意見もあるようです。
「ヘルプカード」は、見た目ではわからない問題を抱える人のために作られました。
『緊急連絡先や必要な支援内容などが記載された「ヘルプカード」は、障害のある方などが災害時や日常生活の中で困ったときに、周囲に自己の障害への理解や支援を求めるためのものです。
また、現在、区市町村において、ヘルプカードの他、SOSカードや防災手帳など、地域の実情に応じたさまざまなカードや手帳などが作成されています。』(東京都保健福祉局)
このような“思いやり”を推奨する様々なマークが登場する一方、これらのマークには障害者手帳や母子手帳などの提示の必要がなく、“誰にでも手に入れられる”ものが多い事も問題視されています。
ごく一部ですが、自分に都合よく利用するために手に入れている人が居るという話もあり、このような事によって、マークの役割が軽視されてしまうのではと危惧されています。
しかし、これらのマークに頼らなくても自分が辛いとき「○○なので助けてください」と言える勇気、そして周囲も相手の状況を察してすぐに助けの手を差し出せる、そんな社会になればいいと思います。
妊婦もマタニティーハイになって、興味のない人に胎児の超音波画像を見せたり、不妊の人に「あなたも早くできるといいね」と言ったり、赤ちゃんだけの年賀状を取引先の会社にまで送るなど、無神経な“妊婦・産婦アピール”をしないよう勤めなくてはいけませんね。