蹴られた、ぶつかられた以外にも「妊娠しているからって偉そうにすんな!」「妊婦様アピールすんな!」と罵声を浴びせられた、こんな経験を持つ人もいます。
それを聞いて「マタニティーマークは危険だからお腹の赤ちゃんを守るためにあえてつけない」という判断をする妊婦さんがいます。
わずかなパーセントでも、これを付けていることで蹴られたり、突飛ばされたりするのであれば、つわりを我慢して立っている方がマシと考えて、“付けない方がいい派”が増えているのも頷けます。
そこで、今日は『〈マンガとQ&Aで楽しくわかる〉1人でできる子になる テキトー母さん流 子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話します。
便利なマタニティマークの“妊娠様アピール”という解釈
特に、妊娠初期は流産の危険やつわりもあり、特に揺れで足下が危うく急停車もある電車では極力座りたい時期です。混雑している場合は、お腹に圧力がかからないように、と心配もあります。
しかし、見た目お腹が膨らんでいませんので周囲にはわかりません。
そんなときこのマークは自分が妊娠している事を示すマークとして有効です。
私が妊娠した16年前はこんなマークはありませんでした。妊娠初期、切迫流産しかけて通院中、電車の優先席に座っていたら前にお婆さんがやってきて「席を変わってよ!」のビーム(=光線)をビンビンと送られました。「すみません。体調がひどく悪くて」と勇気を奮って断りました。「今は便利なマークができたものだな」と思います。
2006年に作られた「マタニティマーク」。妊婦に対する社会の気遣いや配慮を目的に作られました。
けれども今、このマタニティマークが「席譲って欲しいアピール」「気を使って欲しいアピール」のように思われている節があります。
なかなか理解されない、マタニティーマークの意義
マタニティーマークの目的として、厚生労働省のサイトには「妊産婦が交通機関等を利用する際に身につけ、周囲が妊産婦への配慮を示しやすくするもの」「妊産婦にやさしい環境づくりを推進するもの」とあります。
また、災害や交通事故にあったとき、妊娠初期でお腹が目立たない妊婦がマタニティーマークを付けていれば、救命隊が適切な対応ができます。
妊娠中の体調には、つわりがひどい人軽い人など個人差があります。元気な人は席に座る必要もないかもしれません。けれども、吐き気、貧血、トイレが近い、ホルモンバランスの崩れによるイライラなど通常とは違う体調になる人がいます。
これは赤ちゃんが身を守るため「お母さん、休養して」のサインです。
しかしこれらの症状は長く続く事も多く、生活のために体調不良を押して外出せざるを得ない、といった人も多くいます。
一方で、妊婦側も意識すべきこと
電車の優先席で80歳くらいの老人が前にいて自分が妊婦。
どっちが席の優先権を得られるでしょう?