電子書籍元年と呼ばれた2010年から2年が経ち、アマゾンや楽天の動きも目立っている。
日本の電子書籍市場は2012年、どのような展開を見せるのだろうか。

『キンドル・ファイア』
アマゾンが2011年にアメリカで発売した、Androidをベースにした7インチのタブレット。199ドルという低価格が評判を呼び、注文が殺到した。日本での発売は未定。
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アメリカの市場拡大の裏にアマゾンの存在あり

電子書籍周辺が賑やかになってきた。2012年にはアマゾンのタブレット端末「キンドル・ファイア」の日本市場投入が噂される一方、カナダの大手電子書籍会社「KOBO」を昨年11月に買収した楽天は、同社製の端末を今年前半にも発売する予定だ。

日本の電子書籍市場を、IT/コンテンツ双方に詳しい野村総合研究所の前原孝章さんは次のように解説する。

「2011年度の日本の電子書籍市場は771億円と予測され、世界を見てもアメリカと並ぶ大きな規模を誇っています。しかし、日本では携帯電話向けのコミックやケータイ小説が中心で、一般書の電子書籍市場はまだまだ小さい規模に留まっているのが現状です」

ここ数年目立つのは、アメリカ市場の拡大ぶりだ。その背景には、書籍の販売から電子書籍化、タブレット端末の販売までを一手に行うアマゾンの存在が大きいと前原さんは言う。

国内の市場規模は右肩上がりで伸長し続け、2010年度から2016年度までの平均成長率は18.7パーセントにのぼると予測される。
(野村総合研究所推計)
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「電子書籍といっても、映像や音楽と同じくコンテンツ配信ビジネスですから、人気のあるコンテンツを流せるかどうかが、ユーザーの拡大に大きく関わります。その点では、アメリカの書籍販売で圧倒的なシェアを持つアマゾンが電子化を進めたことで、コンテンツが早い時期から揃っていたというのが大きいですね。アマゾンの紙の書籍の売り上げトップテンのうち、電子化されていないものはないという状況が早い時期から出来上がっていました」