やわらかい肉球、まん丸な目、ひくひく動くヒゲ、もふもふなお腹……私たちの身近にいる猫は、まさに全身が“萌えパーツ”とも呼べる存在だ。
ところで、普段なにげなく「肉球」「ヒゲ」などと呼んでいるパーツに、正式な呼び名があるのをご存じだろうか?
今回は猫をもっとよく理解するため、その各部の名前を調べてみた。
舌のザラザラ
猫に顔を舐められて喜びながら、あまりの痛さに思わず叫び声を上げてしまった人も少なくないはず。
犬にはない、このヤスリのような舌のザラザラ部分は正式には「糸状乳頭」と呼ばれる。
猫は糸状乳頭を、毛づくろいのブラシとして、または獲物の骨から肉をこそげ落として食べるために活用している。水分補給も、糸状乳頭にうまく水を引っかけることで、あまり音を立てず飲むことができるそうだ。
数年前、アメリカの大学の研究によって「猫は犬よりも優雅に水を飲む」ことが解明されたが、この独特な舌の構造がそれに一役買っているのかもしれない。
お腹のたるんだ皮
猫の下腹部の皮は、個体差こそあるもののたるんでいることが多い。「中年太りで皮がたるんだのかしら?」と不安に思った人はいないだろうか。
しかし実は、ネコ科の動物に見られる普通の現象なのだ。
その正式名称は「プライモーディアルポーチ(primordial pouch)」。直訳すれば“原始的な袋”となる。
わざわざ皮をたるませ、余裕を持たせている理由については諸説ある。
・不安定な狩猟生活のなかで、“食いだめ”ができるようにするため
・後足の広い可動範囲をフルに発揮するため
いずれにしても病気や肥満が原因ではないので、愛猫のお腹にたるみを見つけても心配せず好きなだけふにふにして萌えれば良いだろう。
肉球の各部
萌えパーツの王道。
肉球とまとめて呼ばれているが、先端にある指のような「指球」、中央にある面積の広い「掌球」、人間でいう親指にあたる「狼爪」、人間でいう手首のあたりにある「手根球」に分かれる。これが前足側の肉球の正式な呼び名になる。
普段あまりじっくり見ることがない後足側の肉球にも、正しい呼び名がある。
面積が広い「足底球」、四本の指にあたる「趾球(しきゅう)」だ。前足に比べると指(球)の数は少なく、シンプルなつくりになっている。
猫たちはこの肉球を駆使して獲物へ静かに忍び寄ったり、高いところから落下した時のクッションにしているのだ。
眼球の白い部分
萌えパーツとはちょっと違うかもしれないが、猫が眠そうな時、または眠っている時にまぶたを開いてみて、白い膜のようなものが見えたことはないだろうか?
「うちの猫が白目を剥いてる!」と驚くかもしれないが、この白目に見えるのは「瞬膜(しゅんまく)」と呼ばれる薄い膜。まぶたをサポートする形で、眼球を守る役割があるそうだ。
たまに寝起きの直後など、目を開けていても瞬膜が見えることがあるが、健康な猫ならほどなく元に戻るので心配はない。ただし瞬膜が引っ込まない場合は目のケガ、感染症の疑いがあるため、獣医で診察を受けることが望まれる。