3.「感謝してよね」が引き金に
「あなたのご両親は、そんな旦那さんを見て何も言わなかったの?」
と尋ねると、
「『お前も一緒に帰ったほうがいい』とは言われたけど。
でも、家に帰ったら家事をしないといけないし、この体じゃ無理よ。
親に頼るのは当たり前なのに、変な意地を張っているのは向こうでしょ」
彼女にとって、自分の意見を聞いてくれない夫があくまで悪いのであり、その姿が両親にまでおかしな心配をさせている、という認識でした。
子どもだけ迎えに来てはさっさと帰る夫にイライラした彼女は、ある日一緒に戻ったときに
『ねぇ、たまにはうちの親とお酒でも飲んだら?
私の体調も心配してくれるし子どももみてくれるんだし、感謝してよね」
と何気なく口にします。
すると、テーブルをバンと叩いて
「いい加減にしろよ。
お前のご両親にはもちろん感謝してるよ。俺の家族が世話になっているからって、お金も渡してる。
でもな、俺はこの家で家族で過ごしたいんだ。何度もそう言った。
家事を強制したこともないし、子育ては俺も手伝うって言ったのを無視しているのはそっちだろう」
と夫は声を荒らげて答えたそうです。
見たことのない夫の剣幕と本音に彼女は驚きますが、続けて
「感謝しろって言うけど、お前は家族のために働いている俺にはお疲れさまのひとこともないじゃないか。
そんなに実家が大切なら、もう金輪際戻ってこなくていいから。帰ってくれ」
と冷たい声で言われ、そのまま夫は口をつぐんで子どもの寝ている部屋へ向かいました。