例えば、親と同じように我が強いタイプの子どもであっても、親が冷静にツボを押さえた接し方をすることで、ある時期がすぎると不要な駄々こねがなくなっていくこともあります。
逆に、親が感情のままに怒りをぶつけ、ブレたしつけをすることで、駄々こねが長引いてしまうこともあります。
普段親が感情で我を通すのを子に見せているからなのか、それとも、泣きわめく子だから親も声を荒げざるをえないのか。
どちらも一理ありますが、大切なことは、親が子どもにどう育ってほしいかです。
他の子どもと比べて不安になり、その不安をまた子どもにぶつけてしまうのが一番よくありません。
子どもをしつけるときに大声や暴力は必要ない
子ども関係の仕事をしていると、「言うことを全然聞いてくれず、一番手こずった子どもが、数年後に会ったらすごく立派になっていた」ということもたくさんあります。
他の、大人しくて聞き分けの良い子どもと比べる行為はすぐにやめましょう。比べていいのは、過去の子どもだけ。
昨日できなかったことができるようになっていたら、目一杯褒めてあげてください。
また、子どもをしつけることは大切ですが、しつけるとき、必要以上に声を荒げたり、手を出したりする必要性はありません。
もし、そうしたくなったときには、それは「子どものため」ではなく「自分の怒りを解消したい」のだと気付きましょう。
そうは言っても、親も人間。
私自身、これだけ児童心理を勉強して仕事にもしているのにも関わらず、我が子の子育てでは感情的に怒って、あとから自己嫌悪になったことも一度や二度ではありませんでした。
親業は、長く続きます。
時には、客観的に自分自身を見て、「なかなか頑張っているな」と認めてあげることで、子どもの良い面も見えてきます。
叱るべきところで野放しにし、甘やかすことはよくありませんが、子どもを心から受容し、承認することは大切です。
子どもは、親が自分を信頼していると感じると、次第にしっかりしてくるものです。
そして、忘れてはならないことがあります。それは、親子の数だけ子育てがあるということ。
以前、子育て相談に来てくださった方が、泣きわめいてつらいとき、子どもと一緒に親も一緒に泣きわめいてみたら、子どもがキョトンとしてその後ふたりで一緒に笑えた、というエピソードを聞かせてくださったことがあります。
「何が正しいか」にとらわれすぎず、親も子も、一緒に成長できるような子育てをしていきたいですね。