5月に上演される同名舞台と連動したWOWOWオリジナルドラマ「ワケあって火星に住みました~エラバレシ4ニン~」の放送が1月24日からスタートする。人気放送作家・鈴木おさむが手掛ける本作は、実在する火星移住計画「マーズワンプロジェクト」に着想を得た、火星を舞台にしたシチュエーションコメディー。ドラマ版の脚本のほか、舞台版の演出・脚本を手掛ける鈴木に、本作の制作に至ったきっかけや、仕事に対する思いを語ってもらった。
-今回のドラマと舞台の連動作品を制作することになったきっかけは?
お世話になっているプロデューサーさんから、実在する火星移住計画の「マーズワンプロジェクト」をモチーフにした舞台とドラマの連動作品を作りたいという提案を頂いたことがきっかけです。初めは「そんな企画成立するのかな?」と思ったんですが、実際に詳細を聞いたら面白い作品になるんじゃないかと思えたので、ぜひ参加したい、と。
-実際には、どのように作品作りを進めていったのですか。
そもそもその「マーズワンプロジェクト」という実在の計画が、火星に行ったら戻れないという片道切符の計画なんです。それで、まずは地球を捨てて火星に来た人たちが、実際にそこで生活をしたらどんな状況になるのかというのを想像しながら、舞台のプロットを作っていき、火星で登場人物たちが体験するハードでシビアな状況を盛り込みました。それから、次にその舞台に至るまでの物語としてドラマをどう作っていくかを考えていった形です。ドラマでは、毎話4人の移住者が登場し、火星での共同生活を会話劇で描いていくのですが、全6話、つまり24人のキャラクターが出てくるので、物語をうまく作るためにも、個性的なキャラクターにするために作り込んでいった感じです。
-確かに、登場人物のキャラクターがすごく濃いですね(笑)。
キャラクター作りはめちゃくちゃ大変でした。斎藤工さんが演じる、ニュースで騒がれた“疑惑のある作曲家”みたいな役には、ロバートのコントライブを手伝ったときに秋山(竜次)が考えたスーパーの音楽の編曲ばかりをやっているという設定を付けたり。いろいろな役を作りました(笑)。今回の作品は、キャラクターのコントっぽさを入り口にしたいということをすごく意識しました。
-ドラマと舞台の連動企画ならではの苦労はありましたか。
ドラマが好きな層と舞台が好きな層は全く違うと僕は思っています。なので、ドラマも舞台もそれ単独で楽しんでいただけるようにしたいとは思っていました。その上で、もちろん、ドラマと舞台の整合性を取る必要があったので、そこは苦労したところでした。この作品の前に僕はAbema TVで「奪い合い、夏」というドラマ作品を担当していて、あのドラマは筆が走ってノリノリだったんですが、今回はすごく苦戦して、長らく筆が止まってました(笑)。
-たくさんのバラエティー豊かな作品を手掛けている鈴木さんですが、普段、作品のインスピレーションはどこから得ているんですか。
バラエティー、ドラマ、舞台といろいろな仕事をさせていただいているので、それぞれの仕事が刺激をし合って企画のヒントになっています。例えば、僕が担当している「Qさま」というバラエティー番組にYouTubeで人気の東大生クイズ王が出てくるんですが、今回の作品で要潤くんが演じるのは、彼をイメージして作りました。反対にドラマや舞台の仕事で得た経験値をバラエティーに生かすこともあって、全てが僕の中でつながっているんです。
-では、放送作家として、一番大切にしていることは?
好奇心です。好奇心を持っていろいろな人に会って話をしたり、何にでも挑戦すること。仕事もそうですし、プライベートでも恩義がある人にももちろん会いに行きますし、興味がある人がいればどこにでも会いに行きます。
-バイタリティーがすごいですね。その原動力はどこからくるのですか。
どこからかは分かりませんが、バイタリティーが有りすぎて、もう疲れてきちゃってヤバいです。燃え尽きちゃいそうです(笑)。自分でも、「なんで僕は燃やし続けてるんだろう?」って思っているところですよ(笑)。
-それは、好奇心が満たされてきたということですか。
いや、満たされたわけではないです。面白い人がいればすぐに会いたくなりますし、目の前に知らないこととか、興味があることが出てくると、やっぱり知りたくなります。例えば、前澤友作さんがYouTubeで1000億円を記帳するという企画をやっていましたけど、「なんでそんなことをするの?」って単純に思うんです。それがいいことなのか悪いことなのかということではなくて、なんでそうなるんだろうということにすごく興味があります。
-今後の目標は?
仕事を辞めることです。リセットしたいんですよ。仕事を辞めた後の目標が特にあるわけではないですが、「引退」とかいうのもダサいので(笑)。でも、なにか自分の中で一つゴールを引きたいなというのがありますね。ずっと走り続ける、ゴールがないマラソンっていうのはしんどいので、線の引きどころを考えています。
-改めて、ドラマ、そして舞台の見どころを。
「火星に住む」というファンタジーな作品ではありますが、登場人物たちが抱える人間関係やトラブルというのは、皆さんの身の回りでも起こり得ることだと思うので、きっと何か心に引っかかるものがあるんじゃないかなと思っています。それから、舞台では、将来、もし火星に移住するとなったら絶対に起こるであろうという、大きな事件を描いているのですが、それはきっと予想外な展開でもあると思うので、ぜひ楽しみにしていただければ。心臓がギュッとなる話を展開していくので、役者さんたちのお芝居を通してその体験をしてもらえたらと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
WOWOWオリジナルドラマ「ワケあって火星に住みました~エラバレシ4ニン~」は1月24日から放送スタート。毎週金曜深夜0時からWOWOWプライムで放送。舞台は、5月16日~24日、都内・サンシャイン劇場ほか、大阪で上演。
ドラマ公式サイト https://www.wowow.co.jp/drama/erabareshi4nin/
舞台公式サイト https://stage-erabareshi4nin.com