「いつもニコニコしている」「正直」「協調性がある」「我慢強い」……。
親ならば子どもにそんな「いい子」であってほしいと思うもの。
しかし臨床教育学者として刑務所での更生支援にも携わった岡本茂樹氏は、著書『いい子に育てると犯罪者になります』で、衝撃的なタイトルと同様に、親が子どもに「いい子」を強いることは危険だと述べています。
小さな頃から自分の感情を抑えて、親の期待する役割を演じようと無理を重ねた結果、ある瞬間に耐えきれなくなり「犯罪」という形で爆発してしまうことがあるのです。
そんな事態にならないために、親はいったいどのように子どもに接すればよいのでしょうか?
問題行動を起こす前はみんないい子だった
問題行動を起こしたり、非行に走ったりする子は初めから「悪い子」だったと考えがちです。
しかし、著者はいきなり非行に走る子どもはいないといいます。
「いい子」でいようと頑張っていたのに、それを親に認められなかったが故にネガティブな感情が爆発して問題行動を起こしてしまうことにつながるのです。
例えば、優秀な兄に負けないようにもっといい子でいようと頑張っていたのに、親に「お兄ちゃんと比べて、お前はダメね」と言われたら、それまで抑圧していた感情が爆発し、非行に走ることもあるでしょう。
また、非行少年というと親からきちんとしつけをされていないというイメージがあるかもしれませんが、それも逆です。
「甘えるな!」「弱音を吐くな」「人に迷惑をかけるな!」など厳しい言葉や暴力でしつけ(虐待)を受けていた人が多いといいます。
彼らも最初は親の厳しい「しつけ」に従う「いい子」でいようとしますが、学校など親のいないところではそのストレスを他者にぶつけるのです。このようにして「裏表のある人間」がつくられてしまいます。