価値観を押し付けると子どもは生きづらくなる!

価値観を「◯(良い)」と「×(悪い)」のどちらかで捉えることが生きづらさの原点だと著者はいいます。

例えば「協調性がある」ということは「良い」と捉える人が多いでしょう。協調性があれば、人間関係がうまくいきます。

しかし見方を変えてみると、いつも人に合わせたり、他人の意見に従うだけになる恐れもあります。
さらに「自分の意見は言ってはいけない」「自分の考えは持ってはいけない」と発展することもあるでしょう。

どんな価値観にも必ず裏表があります。それを親が理解していないと一方的に「協調性を持ちなさい!」と子どもに伝えてしまうでしょう。

しかし、そのことで子どもが知らず知らずのうちに自分の意見を言わずに、ただ他人に合わせるだけの人になってしまうかもしれません。

逆に、悪者だと思っている価値観も自分の中でバランスをとったり、健康的に生きていくために必要な場合もあります。

当たり前と思っていた価値観を疑ってみることは、子どもにとってはもちろんのこと、親自身にとっても大切なことでしょう。

「嘘をつかない」と約束させることはできない

親なら「嘘をつかない正直な子になってほしい」と思うのは自然なこと。しかし、「嘘をつかないこと」を子どもとの約束事にすることはできません。

これは他の人間関係も同じですが、人間ができないことを約束事にすると必ず問題が起こるのです。

子どもが嘘をついたとき、一番やってはいけないのは事実を指摘し、「嘘をついてはいけない」と叱ることだといいます。

子どもは謝罪の仕方を身につけることはできますが、親も子も嘘をついた理由には目を向けなくなってしまうからです。そして子どもはますます巧妙に嘘をつくようになるでしょう。

子どもの嘘は人生最初の「問題行動」であり、親が子どもの本音を知るチャンスだといいます。

問題行動には「なぜ?」という視点を持って対処することが大切です。子どもが嘘をついた理由がわかれば、親が変わればよいのです。

「お母さんが普段言っていることで『嫌だな』と思っていることを教えてくれない?」「我慢していることはない?」などと子どもと一緒に嘘の原点を探りましょう。

そして、子どもが本当の気持ちを打ち明けられたら、それを称えることが大切だといいます。

ただ嘘をついた子どもを叱るだけでは、子どもの本当の気持ちを知る機会を失うばかりか、子どもが自分自身を「悪い子」だとレッテルを貼ったり、親に心を開かなくなることもあるのです。


著者は、「しつけをしないといけない」と力み過ぎず、子どもに「良い生活習慣を身につけさせる」という感覚で子育てをすることが大切だ、とメッセージを送っています。

きちんとした大人になってほしいと願うあまり、子どもの行動を叱ってしまうことは誰にでもあると思いますが、そんなとき、「なぜ子どもはその行動をしたのか?」という視点を持つことを忘れないようにしたいものです。

ライター。音楽系の出版社で6年間勤務した後、かねてからの目標であったアメリカでの短期留学を果たし、現地でフリーペーパー制作のボランティアを行う。帰国後は、実用書を扱う出版社にて女性エッセイや心理本などの編集を担当。その後、ライターとしての活動を始める。北欧のヴィンテージ食器が好き。