4:健全な境界線を築けない
境界線とは、自分への許容可能な態度やふるまいの一線を指します。
周囲の人々に、境界線を越えた態度やふるまいをさせないことで、快適な人間関係を継続することができるというものです。
子どもの境界線は毒親にひどく侵食され、むしばまれがち。というのも、子どもが嫌だと思うことを、大人にさせないようにするのは困難だから。
大人にとっても、そんなに簡単なことではありませんが、子どもにとってはなおさらです。
境界線を保てない環境にいた子どもが成長して大人になったとき、境界線を築くことは、なんとかしようと決心して行う作業にならざるをえません。
その影響は恋愛にも大きく出てしまいがち。
アメリカの介護情報サイト『AgingCare.com』によると、毒親の子どもへのカウンセリングで、毒親から離れることを勧める場合があるとのこと。
不毛な関係を続けるのが耐えられなくなった場合でも、毒親の子どもにとって、親のしてきたことや、親への気持ちを明確に言語化することは非常に辛い作業になることがあるそうです。
5:パートナーを信頼できない
毒親の家庭は、概して不安定です。親は気まぐれで怒りっぽく、育児放棄や不機嫌さは永続的で、誰かを信頼する経験を育みづらい環境でしょう。
このパターンを破るのは難しく、アメリカの健康情報サイト『Everyday Health』によると、ひどい虐待を受けた子どものおよそ3分の1は、大人になったときに同じような虐待をしてしまいがちなのだそうです。
毒になる環境にいる子どもは、近しい人と信頼しあう関係を持つ経験がなく、不安定で混乱した人間関係の中にいます。
周囲から、自分の気持ちをかき乱される経験が長いと、パートナーもそういうものだという感覚から抜け出しにくくなります。
6:怒りに対して健全な対応ができない
健全な家庭では、子どもは親に異議を唱えることができますし、親は子どもに反対することができます。
反対することもできると感じていて、怒っていても、けんかをしていても、互いを愛し尊敬することが可能だとわかっています。
これが健全な怒りへの対応です。毒親の家庭では、そのようには思われていません。
アメリカの育児情報サイト『Romper』によると、親は子どもを暴力で攻撃するので、子どもにとって、怒りや批判は非常に辛く、耐えられないものになるそうです。
また、子どもは自分の気持ちを出しても安全だと思えません。
怒りも批判も、本来はどんな人間関係にもごく当たり前に存在することなのですが、そのように考えられる状況ではなくなっているのです。
ケンカしながら絆を深める恋愛関係も、想像しにくいことでしょう。毒親の子どもには、言い争うとおとなも顔負けの腕前の子どもがいます。
とはいえ、残念ながら全員がそうだというわけではありません。
2006年出版の人格と社会心理学ジャーナルによると、虐待が存在する家庭の子どもは、親と見た目や言動が似ている人から暗黙の脅迫を連想しがちなのだそうです。
脅威や不安、そして怒りを異常に危険なものと認識していることは、自分の戦い抜く力を骨抜きにしかねないのです。
7:自己批判しすぎる
2012年出版の社会・臨床心理学ジャーナルによると、毒親の子どもは恋愛で幸せになる上で大きな妨げがあるのだそうです。
それは自己批判の傾向です。自己批判とは、ちょっと自虐的な物言いとは異なります。
自分には何らかの欠陥があると思うように育てられ、愛情を追い求めることを強制されてきた子どもは、信じられないような方法で自分を傷つける傾向があるのです。
恋愛や結婚はゴールではなく、あらゆる問題を乗り越えていく過程ですから、自分を強く批判する傾向は、自分にとってもパートナーにとっても辛い試練になりえます。
*
毒親がどれくらい子どもの心に影響を及ぼすか、おわかりいただけたのではないでしょうか。親との人間関係はこれほどまでに重要なものなのです。
もし、自分の周囲で毒親の話を耳にしたら、こういった情報をヒントにしていただければ幸いです。
<参考記事>