みなさんは、アドラー心理学をご存知ですか?

アドラー心理学とは、1870年生まれの心理学者であるアルフレッド・アドラーが、「どうすれば人は幸せに生きられるのか」を追求した学問のこと。

書籍『自分で決められる人になる! 超訳こども「アドラーの言葉」』は、明治大学文学部の齋藤孝教授がアドラーの教えを厳選し、小学生でも理解できるように「超訳」としてまとめた一冊です。

親は子どもに対して「幸せな人生を歩んでほしい」との願いを持っています。とはいえ、親が子どもの人生をすべて決められるわけではありませんよね。親がしてあげられることには、限界があるでしょう。

本書では、アドラーからのメッセージとして「親が子どもにできるのは『勇気づけ』であり、勇気のある子どもは新しいチャレンジを繰り返しながら、自分でどう生きるかを決めて幸せになれる」と紹介されています。

自分の人生は、自分で切り開いていかなくてはいけません。齋藤氏は、自分で決められる子どもになるために、アドラーは最適な先生であると主張します。

そこで今回は本書からアドラーの言葉、そして齋藤氏の解説の一部をご紹介いたします。

1:「劣等感を持つのは、向上したいと思っているからこそ。勇気があれば劣等感は克服できる」

他人と自分を比べてしまうこと、ありませんか? 子どもだって、学校で勉強やスポーツができる友達と比べて、「僕ってダメだな……」と落ち込むことがあるでしょう。

たしかに劣等感は、いい感情ではありませんよね。

しかしアドラーは、向上したいという気持ちがあるからこそ、劣等感を持つと言っているのです。もっとよくなりたいと思うから、他人より劣っていることを気にしてしまうというわけです。

とはいえ劣等感を持ち続けるのは、ツライもの。劣等感を克服するために大事なことは、少しでも状況をよくしようとする勇気だといいます。

他人と比べるのではなく、昨日の自分より今日、今日より明日の自分というふうに、自分自身を成長させていくことが、劣等感をなくす方法なのです。

2:「親からどんな特徴をうけついだかよりも、その特徴を使いこなす方が大事」

苦手なこと、できないことに「遺伝だからしょうがない」と諦めている子はいませんか?

アドラーは、親から何を遺伝したかはそれほど重要ではなく、遺伝したものをどう使うかの方が大切だということを言っているそうです。

たとえ不利な特徴であっても、考え方や使い方によって、いくらでもいい結果を出すことができるとのこと。

たとえば、背が低くてもバレーボールやバスケットボールの世界で活躍する人はいますよね。遺伝をできない理由にするのではなく、それをいかしていくことを考えたいですね。