作品への思いを語った松雪泰子

 映画『古都』の初日舞台あいさつが3日、東京都内で行われ、出演者の松雪泰子、橋本愛、成海璃子、葉山奨之、伊原剛志、エンディング曲を担当した新山詩織、Yuki Saito監督が登壇した。

 本作は、川端康成の名作小説を現代風にアレンジし、原作では描かれなかった大人になった主人公の物語として映画化。

 松雪は「川端康成さんが表現したかった京都という舞台を、現代版として表現している作品です。この映画は小説を読むように行間を読む映画です。だからこそ人の想像力が大切になってくると思います」とほほ笑みながら語った。

 世の中に飛び出そうとする役を演じた成海は「そういう女性は素晴らしいと思います!」と言い切った後、「他にどんなこと言えばいいんだろう」と困った表情を見せ、会場は笑いに包まれた。

 代わって松雪が、成海の役どころについて「璃子ちゃんの演じた役は、才能があるかどうか自分では分かっていない役で、それでも挑戦していく女の子なんです。私自身、若いころは積極的なところがあったので、かつての自分を見ているような気持ちになりました」と自らの過去を重ねて語った。

 そんな松雪を、家族はどのように思っていたのかと聞かれると「自分が方向性に悩むこともあったのですが、そんな自分を家族は手離しで見守ってくれました」と答えた。

 最後にSaito監督は「(本作は)温故知新と言えます。55年前、川端康成さんが今見ている京都の美しさを残そうと思って書いた作品であり、その思いをつないだ人がいるから、この作品は心をつなぐものにしたいと思いました」とコメント。

 それをを受けて松雪は「日本人がなくしてはいけない伝統を、残していかなければいけないという思いはあります。ですが、若い世代にどうやってつないでいくかということが難しいんですよね」と語った。