観客の想像力を掻き立てる演出
ディズニーのミュージカルと聞くと、『アラジン』のような華やかな舞台装置をイメージしがちです。
しかし本作は小道具が少なく、一つの道具が大聖堂の柵・街並み・牢屋など次々と役割を変え、観客の想像を掻き立てる演出になっています。
また、舞台転換がなくセットは終始、物語の主役ともいえるノートルダム大聖堂のまま。
大聖堂の窓から差し込む光や、エスメラルダが歌う「神よ 弱き者を救いたまえ(God Help the Outcasts)」でのステンドグラスの柔らかな光は息をのむ美しさ。
7つの大きな鐘は完璧に再現されており、生き生きと鐘を鳴らすカジモドの姿は映画そのまま。
劇場に入った瞬間からステージは解放されているので、開演前や休憩時間にノートルダム大聖堂をじっくり観察し、その世界を感じてみることをオススメします。
『アラジン』や『リトルマーメイド』は作品をもとに作られたテーマポートが東京ディズニーシーにありますが、『ノートルダムの鐘』をテーマにしたエリアやアトラクション、ショーは現在ありません。
だからこそ、この舞台上に作品の世界観が再現されていること、それを体験できることを映画のファンとしてとても嬉しく感じます。
ストーリーやキャラクターはアニメーション版と違いが大きく、なかにはショックを受ける描写もありました。
しかし、時代を超えた普遍的なテーマは現代を生きる私たちにとっても無視できないもので、とても胸に響く内容です。
『ノートルダムの鐘』の世界を生で体験できるのは、現在日本で劇団四季のミュージカルだけ。
アニメーションファンの方はもちろん、小説を読んだ方、全くこの作品を知らない方も、この感動を味わっていただきたいです。