家ではグータラ中のグータラな干物妹! 『干物妹! うまるちゃん』の土間埋
こちらも『ガヴリールドロップアウト』と同じく「動画工房×太田雅彦×あおしまたかし」による2015年作、『干物妹! うまるちゃん』より、主人公の土間埋(どまうまる)をご紹介させていただきます。
「うまるちゃん」こと、土間埋は、容姿端麗、学業優秀、まさに非の打ち所がない完璧(パーフェクト)超人な女子高生ですが、それはあくまで家の外での話。帰宅するやいなや、お気に入りのパーカーに身を包み、ゲームや漫画などの自分の趣味に没入して自堕落な生活を送る「干物妹(ひもうと)」へと大変貌を遂げます。
その変貌ぶりたるや凄まじく、何と頭身すら変わってしまう程! 最早、別人としか言いようがない驚きの大変身をするうまるちゃんなのです。
物語は、基本的にうまるの我儘し放題な極度のグータラっぷりと、そんな彼女を真人間へと矯正しようとしつつも、妹が可愛いが故に、ついつい甘やかしてしまう兄、大平(たいへい)とのコミカルなやり取りを中心として進行します。
自由奔放(かつ自堕落)な言動で兄を困らせるうまると、そんなうまるに振り回され続ける兄。視聴者は、時に、うまるの度を越した自己中心っぷりに焦れったい思いを懐きつつも、何だかんだで妹を思いやる兄の姿に微笑ましい気持ちになってします。
ちょっと不思議で、でも、何だかちょぴり羨ましい。そんな兄弟の姿は、本作の一番の見どころです。
外では完璧超人、家ではグータラな干物妹なうまるちゃん。そのギャップがチャームポイントな『干物妹うまるちゃん』は、コメディアニメの良作です。
自堕落な駄女神だけど、そこが良い! 『この素晴らしい世界に祝福を!』のアクア
昨年、アニメファンから大きな話題と高い評価を集めた『この素晴らしい世界に祝福を!』も"グータラヒロイン"が魅力が光る作品です。
「個性」と呼ぶにはアクが強過ぎる強烈なキャラクターが次々に登場する『このすば』ですが、中でもそのグータラかつテキトーな性格で、ファンから愛される存在となっているのが、ヒロインの一人であるアクアです。
アクアは、実は女神様なのですが、(非常に情けない死因によって)この世を去った主人公、和真の巻き添えを食う形で異世界へとやってきてしまい、なし崩し的に彼とパーティを組むことになります。
女神様というと神秘性や慈愛に満ちたキャラクターを想像しますが、このアクアは、グータラでテキトーなお調子者であり、更に、飲み食いに対する意地汚さや普段の言動における品のなさといった、様々なマイナスポイントを持ち合わせた駄目な女神……略して「駄女神」です。
その可愛らしい外見やプロポーションの良さと相反する悪徳塗れの内面を持つアクアは、まさに、「残念美人」の称号が相応しいヒロインといえます。
しかしながら、そんなダメダメさ加減が、アクアがファンから愛される所以となっているのです。女神なのに怠け者、女神なのに肝心なところで役立たず、女神なのに飲ん兵衛、女神なのにトラブルメーカー。そうしたギャップは、アクアというキャラクターが持つ魅力に直結しています。
『このすば』の舞台となっているのは、RPGゲームのような街並みと文明を持つファンタジー世界ですが、そこで胸が高鳴るような主人公の冒険譚が始まるかというと、然にあらず。肉体労働や懸賞金目当てのモンスター討伐など、主人公一行が日々の食い扶持を稼ぐ為に逞しく生き抜く妙に生々しい日常が描かれます。
一見すると、正統派のファンタジーのようでいて、その実、ファンタジーのお約束事を尽く外してみせる。その脱臼感覚こそが『このすば』という作品の笑いどころであり、作品の持ち味です。
そして、アクアというギャップだらけな女神様の存在は、そうした『このすば』のパロディ的な作品性を強く体現しているといえます。現在、好評放送中の第2シーズンでの大活躍(?)にも期待大です!