「夢中」から何かを生み出すのは、親ではなくて子ども自身!

――健太郎くんの「夢中」を止めず、創造力を育てるために、ご自身が能動的に行なっていたことってあるんでしょうか?

山本:先ほど言ったような、夢中になっている時に邪魔をしない、というのもそうですが、こちらが能動的に行なっていたことでいうと、息子が夢中になっていることに対して、こちらが何か応援出来ることはないかなと探して、実際にその機会を提供したことはありました。

例えば、『かいけつゾロリ』に夢中になっていた時は、作者の原ゆたかさんのサイン会情報を知り、事前に電話してなんとか整理券を取ったりしましたね。その時、息子は本当に行きたかったみたいで、お仏壇のリンをチンチーンと鳴らしてご先祖様に整理券が取れるようお願いしてましたよ(笑)

――健太郎くんが文房具に興味を持ち始めてからはどうでしょうか?

山本:文房具に夢中になった頃はいろいろな文房具屋さんへ連れて行ってみたり、図書館で「文房具」と検索して文房具の本を借りたり、本屋さんで息子が好きそうな本があったらお土産に買ってきたり……

息子のためにしてあげている、というよりは、親も子どもが教えてくれた世界を一緒に体感して楽しんでいるという感じでしたね(笑)

でも、あくまでも「その中で何かに気付いたり、掴むのは本人」というのは大事なことかなと思っていたので、こちらの思いを強要しないようにしていました。

私は息子が夢中になっている分野や時間を「神聖な夢中ゴコロの領域」と捉えていて、そこには足を踏み入れすぎないように心がけていたように思います。

――「神聖な夢中ゴコロの領域」……確かに子どもならば誰でも持っているもの、という気がします。

山本:神聖な領域と言えば、小さな頃にごっこ遊びでいろいろ楽しそうなお話を自分で作って独り言のように話していたことがあったのですが、そういうときはなるべく話しかけないようにしてました。

聞いていると、とっても楽しいんですよ!

夢中になって絵を描いているときも同じで、頭の中に広がっている楽しそうな夢中世界を中断しないように、そっとそのままにしておいたりしていましたね。