「しかもカシスウーロンがいつもなかなか来ないの。みんな目の前の生ジョッキおあずけで、キャツのカシスウーロン待ちなわけ。乾杯する頃にはビールの泡消えてるっつうの!」
ビールはぬるくなるし、酒好きなんてウソなんじゃんっ!
とここでギンガム男子はややがっくしきます。
「しかも店員さん呼ぶブザーも押すのもいつもボクなわけ。あんた一番ヤングなんだからコップの横にブザー置いときなさいって話でしょ」
つぎは気配り問題。無礼講なんて幻想ですから。
「今日一番むかついたのは、
『センパイ、全然飲んでないじゃないっすか~』って。
『もっと強いと思ってた』って。ため口混ぜてくんのよう!」
ギンガム男子は相当に傷ついていました。
可愛がってやろうと大きく広げた翼の羽根は引き裂かれてもうズタボロ。
よって今夜は後輩クンが帰るまで宴会を脱走するそうです。
「ただ一緒に頑張っていきたいわけですボクは。一緒にウインナも分かち合ってきたいわけですボクは!」
確かにウインナランチに、道連れ男子はいたほうがいいでしょう。
「ボク思うんです。会社でもし後輩が100%悶々としてるとしたら、この世のセンパイたちは108%悶々してるわけ!」
私、静かに打たれました。
プラス8%という、絶妙にリアルな数値に。
決してプラス10%ではありません。そこまでずうずうしくありません。
かといってプラス3%でおっつくようなチャチな悶々具合じゃありません。
ふと8%の悶々成分を考えてみました。
1:センパイは後輩に尊敬されたい生き物。常にプレッシャーがつきまとう。
2:後輩に「注文ブザー押せよ」と言えばきっと嫌われる。
なので、自らブザーをプッシュし「背中で教える」ことにトライ。
でもたいがいその背中は見られていない。
3:やってらんないので、ひたすら飲みに走るが飲めば飲むほど「もっと飲めますよね!」と
間違ったカタチのおもねりが後輩から無情にはなたれる。つかれる。
4:なんとか自分を建て直そうと、中座する。お金と時間のロスが発生する。
まだまだあります。
5:こうして宴席を立ったがいいが、その後の後輩のふるまいが気になる。
場を白けさせていないだろうか?と思う一方で、
「俺の居場所」を奪っちゃいないか?と矛盾する苦悩が同時発生。ああジレンマ。